ページ8
「紹介が遅れました、私は一寸法師と申します」
洞窟の奥から突如三人の前に突然現れたその男は、丁寧に頭を下げてそういました。
既にボロボロで所々ほつれてはおりましたが、杖を突き、確かに黒い
太智「はぁ……お化けじゃなくてよかった……」
仁人「えぇ……。久々に肝を冷やしましたよ……」
一寸「申し訳ない……」
舜太「それより、さっきあんた宝がどうのこうの言ってなかった？」
一寸「あぁ、はい。ここには、どんな願いも叶うと言われる"打ち出の
その宝を探し、数多の人間がここを探索しに来たと言います」
仁人「それが彼ら、という訳ですか……」
一寸「えぇ。おそらく」
舜太「けど、なんで骨になるまでここを出なかったんだよ。宝を探しにきてこんな風に死んじまうなんて、馬鹿みたいじゃん」
仁人「これ、舜太殿。故人を
ここに転がる人骨は皆怪我などした形跡はなし。
引き返そうと思えば、こうなる前に引き返せたはずです。
それなのに、これだけの数の人間がここで死んでしまったということなのです。
一寸「それは簡単です。ここに踏み入ったものは、二度と出られなくなるからなのです」
太智「ええ？！嘘でしょ？！」
一寸「本当です……」
舜太「じゃああんたも宝に目がくらんでここに入り込んで、出られなくなったってことか？馬鹿だなー」
一寸「いえ、私は宝などには興味はありません」
舜太「じゃあ何でここに？」
一寸「ここに宝を探しに来たものは、皆誰一人帰ってこないという噂が立ち、村の人たちも大層困っていました。ですから、私はその原因を調べにここへやってきました。
そしてそれを探っているうちに、出られなくなってしまったのです……」
仁人「なるほど……。で、その原因というのはお分かりになられたのですか？」
一寸「ええ。この目で確認したわけではありませんが、まず間違いないかと」
太智「な、何なの？」
一寸「はい。何故、ここへ踏み入ったものが出られなくなってしまうのか。
それは、
ここが鬼の腹の中、
だからです」
舜太「はぁ？！」
太智「お、鬼の……？」
仁人「腹の中……？」
―
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：milkssss | 作成日時：2020年7月13日 21時
