私は稀有な異能の子 ＊2＊【文スト】太宰治

望 ページ9

〜No side〜


豪華絢爛な部屋に相応(ﾌｻﾜ)しくない
静かな雰囲気の2人。

年をとっている女性はそっと
目を閉じているまだ若い
彼女の頭に手を当てた。


お｢実は、アンタの異能力は、私を尋ねてきた
次の日から、薄々勘づいていたんだよ｣


女性は手に力を込める。


お｢なんでアンタなんだろうねぇ……
でも助けれないのさ…運命に
逆らえないんだよ……｣


次第に彼女の身体が紅いオーラのような
ものに包まれてゆく。


お｢私の異能力は……


"相手を洗脳することができる"


異能力なんだよ……｣



女性がそうポツリと呟く。
彼女の頭に触れていた手を離す。

すると異能力を掛けかられた彼女は
ゆっくりと瞼を開く。

彼女は既に光を完全に
失った目で言い放った。


｢我は仮神である。実の神へとなる為、
受継の儀を燗華凌御殿で行う。
早く我を着替えさせろ。｣


すると今までどこか悲しそうに
Aに対して呟いていた女性は
畏(ｶｼｺ)まって言った。


お｢御意。｣


女性が部屋を出ていくと、
彼女は一筋の輝きさえない瞳で
果てしなく続く水平線をみつめていた。


｢…………全ては神の御心(ﾐｺｺﾛ)に従うまで…｣


船は大陸へと進んで行く。

彼女が、燗華凌教信者が崇める
神となる儀式を行うために。





〜武装探偵社 side〜



一方その頃、探偵社内は
緊迫した空気に包まれていた。

横浜で別の国の人物が
裏社会で暗躍していたのである。
それに加え、Aが拐かされたという事。

建物ごと爆破され、瓦礫の下になりかけた
国木田、中島、太宰はもぬけの殻となった
アジトを急いで後にし、
探偵社に即時に報告した。

今は報告後、緊急会議の最中である。


福｢……相手は他国の宗教団体か……｣

独｢すみません、社長…私の責任です｣

太｢……｣

与｢Aが他国に行ッちまうと、
下手に手を出せないンじゃないかい？｣

乱｢下手すると国同士の戦争になるからね｣


皆、険しい顔をする。

すると普段はあまり発言のしない
太宰が怒りを含んだ声色で言った。


太｢異能特務課に取り合った。｣

福｢な、太宰………！？｣

太｢武装探偵社の出国許可を内密に
取ってもらうそうだ｣

独｢お前そんなこと……！｣

太｢国としても問題になるしね。
こんなに他の国の奴らから
好き勝手荒らされても困るだけ。｣

敦｢そんなに簡単に許可が下りたんですか？｣

太｢ふふ、私はツテが多いからね｣


太宰の目の奥に宿る熱意には
誰も気が付かなかった。

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