64日 ページ14
夕陽が帰った後、僕は一人病室で考え事とかをしていた。
するとそこには懐かしい声がする。
「Aくん…最近聞いてのお、入院しとったのかい」
あの爺さんだ。
僕は目に涙をためた。
「聞いてはおったが本当じゃったんか…」
爺さんは誰から聞いたのだろうか?
僕は疑問に思っていた。
療養所で会ったきり、会ってもいなかったし特に僕も気にしていなかった。
「相変わらず昔のまんまじゃ…嬉しいかのう」
爺さんは単調に話を続けている。
「ワシがどうして知っているか聞きたいっていう顔じゃな」
突如、僕の方を見ていう爺さんに僕はやや驚いた。
「お母さんじゃ、Aくんと夕陽くんのお母さんが最近やってきてのぉ」
お母さんが?
僕はそこまであまり驚かなかった。
「死にかけの爺さんの励ましなんぞたしになるかわからんが」
すると爺さんはニカッと明るく笑った。
「頑張って生きるんじゃよ」
僕はその言葉を聞くと胸がじんじんと熱くなった。
ありがとう、伝わるように目で訴える。
これしか僕には伝える方法がないから。
本当は80超えの爺さんは歩くのも辛いはずなのに、僕より元気でお見舞いに来ている。
いや、頑張って来てくれた。
僕はそれだけで不安な心に勇気をもらえた。
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明月浅葱(プロフ) - めっちゃ泣きました! 俺、病系好きなんであまり泣かないんですが、こんなに泣いたの初めてです! (2022年11月13日 16時) (レス) @page30 id: 2a22133648 (このIDを非表示/違反報告)
金木犀 - 目が晴れそうなほど泣いてしまいました。素敵なお話を完結させてくださりありがとうございます! (2021年12月21日 0時) (レス) @page30 id: b5d4ecbe80 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 涙が止まらない位感動しました。 (2016年9月18日 14時) (レス) id: a56b4ade72 (このIDを非表示/違反報告)
桃崎星(プロフ) - 涙が止まらん (2016年2月22日 22時) (レス) id: 308057f239 (このIDを非表示/違反報告)
ぁぃぅぇぉ。 - 久しぶりに小説で泣きました…。それはもうボロボロと(笑 とても素敵なお話でした! (2015年9月9日 14時) (レス) id: 76adb82bc6 (このIDを非表示/違反報告)
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