検索窓
今日:1 hit、昨日:9 hit、合計:113,782 hit

59日 ページ9

安堵感と幸福感に満ちて僕は胸を弾ませた。

(ありがとう、夕陽…本当にありがとう)

僕はここにいない夕陽に向けて感謝の言葉を胸で唱えた。

「A…今からじゃ遅いかもしれないけど、また…笑ってお母さんだって認めてくれる?」

母親、否かお母さんは何年振りだろうか僕に向かい微笑んだ。

僕も嬉しくて少し動く首を微妙にコクンと頷いた。
お母さんは気付いてくれて嬉しそうに頬を上げた。

「ありがとう…これも夕陽のおかげね、私後で後悔するところだったわ…」

これでやっと、昔のような家族になれた。
愛情や信頼が手に入った。

残念なことにそれが手に入った時は遅くて、声も体も出ないし動かないけど、それでも良かったと思える。

「残念ね…夕陽は明日学校だから帰っちゃったのよ…」

そこは分かっていた。
嫌でも夕陽はこういう時、一緒に入れないということ自体は。

けどお母さんも明日仕事があるはずなのに一緒に居てくれる。僕のために。

それだけで十分嬉しい。

僕の僅かな寿命、最後まで両親に愛されることはないと思っていた。

明日ありがとうって夕陽にどうしても言いたい。
けど伝えられない。

今の自分にとってこの体は凄い重みのある部分だった。

60日→←58日



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (41 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
42人がお気に入り
設定タグ:病弱 , 男主・双子 , 感動系 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

明月浅葱(プロフ) - めっちゃ泣きました! 俺、病系好きなんであまり泣かないんですが、こんなに泣いたの初めてです! (2022年11月13日 16時) (レス) @page30 id: 2a22133648 (このIDを非表示/違反報告)
金木犀 - 目が晴れそうなほど泣いてしまいました。素敵なお話を完結させてくださりありがとうございます! (2021年12月21日 0時) (レス) @page30 id: b5d4ecbe80 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 涙が止まらない位感動しました。 (2016年9月18日 14時) (レス) id: a56b4ade72 (このIDを非表示/違反報告)
桃崎星(プロフ) - 涙が止まらん (2016年2月22日 22時) (レス) id: 308057f239 (このIDを非表示/違反報告)
ぁぃぅぇぉ。 - 久しぶりに小説で泣きました…。それはもうボロボロと(笑 とても素敵なお話でした! (2015年9月9日 14時) (レス) id: 76adb82bc6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:堕天使の使い手 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2015年7月13日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。