59日 ページ9
安堵感と幸福感に満ちて僕は胸を弾ませた。
(ありがとう、夕陽…本当にありがとう)
僕はここにいない夕陽に向けて感謝の言葉を胸で唱えた。
「A…今からじゃ遅いかもしれないけど、また…笑ってお母さんだって認めてくれる?」
母親、否かお母さんは何年振りだろうか僕に向かい微笑んだ。
僕も嬉しくて少し動く首を微妙にコクンと頷いた。
お母さんは気付いてくれて嬉しそうに頬を上げた。
「ありがとう…これも夕陽のおかげね、私後で後悔するところだったわ…」
これでやっと、昔のような家族になれた。
愛情や信頼が手に入った。
残念なことにそれが手に入った時は遅くて、声も体も出ないし動かないけど、それでも良かったと思える。
「残念ね…夕陽は明日学校だから帰っちゃったのよ…」
そこは分かっていた。
嫌でも夕陽はこういう時、一緒に入れないということ自体は。
けどお母さんも明日仕事があるはずなのに一緒に居てくれる。僕のために。
それだけで十分嬉しい。
僕の僅かな寿命、最後まで両親に愛されることはないと思っていた。
明日ありがとうって夕陽にどうしても言いたい。
けど伝えられない。
今の自分にとってこの体は凄い重みのある部分だった。
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明月浅葱(プロフ) - めっちゃ泣きました! 俺、病系好きなんであまり泣かないんですが、こんなに泣いたの初めてです! (2022年11月13日 16時) (レス) @page30 id: 2a22133648 (このIDを非表示/違反報告)
金木犀 - 目が晴れそうなほど泣いてしまいました。素敵なお話を完結させてくださりありがとうございます! (2021年12月21日 0時) (レス) @page30 id: b5d4ecbe80 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 涙が止まらない位感動しました。 (2016年9月18日 14時) (レス) id: a56b4ade72 (このIDを非表示/違反報告)
桃崎星(プロフ) - 涙が止まらん (2016年2月22日 22時) (レス) id: 308057f239 (このIDを非表示/違反報告)
ぁぃぅぇぉ。 - 久しぶりに小説で泣きました…。それはもうボロボロと(笑 とても素敵なお話でした! (2015年9月9日 14時) (レス) id: 76adb82bc6 (このIDを非表示/違反報告)
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