次男の苦悩2 ページ10
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「お、何松野、愛しのハニー佐藤と仲良くここまで来たの?」
部室の戸を開けたと同時に飛んできた声。
にやにやと笑うその声の主は、演劇部の女の先輩。
Aと特に仲のいい先輩だからだろうか。よく俺達に絡んでくる先輩の1人だ。
「ひひ、ちょっと先輩、私のダーリンなんで取らないでくださいよ、……くく」
「はははは、!心配しなくても誰も取らねえよ、……ふは」
言いながら爆笑するAと先輩。
私のダーリンなんで、なんて。
冗談なんだ。冗談なんだ。そんなことは頭の中で分かっているはずなんだが。
ああ、Aの言葉はまるで言葉一つ一つにブランデーが掛かっている様だ。
冗談で言っている言葉だと分かっているのに、頭が沸騰して、くらくらする。
「……そうだな、俺はAのものだ、
すまないが、先輩のものにはなれない……ああ、また女を傷つけてしまう。俺は罪な男だ」
そんなこんがらがった頭だったから、正常な思考判断が出来なかった、と先に言い訳しておこう。
俺は、台詞を吐きながらAの肩に手を回した。
彼氏でもないのに、その細く白い肩に手を回し、こちらへ引き寄せた。
拒絶されるかもしれない、手を払われるかもしれない。
そんな考えだって勿論頭の中にはあった。あったはずなのに。
気付いたら俺は、
冗談の延長線だと言い訳できるこの状況にかこつけてAを自分の腕の中に収めていた。
拒絶するならしてくれ、そうしたらいっそ諦めがつくんだ。
「……ねえ、ダーリン人前だよ。やるなら2人の時にしてよ照れる」
にこり、いつもの様に微笑むA。
ああ、本当に罪なのはお前だよ、マイハニー。
何故拒絶しないんだ、
なぜそんないつもと同じ笑顔でいられるんだ。
彼氏でもない男に抱き寄せられたんだぞ。
「ひー……、何見せびらかしてくれてんだよ、これだからリア充は困るんだよな、」
最初は俺の行動に吃驚したのか固まっていた先輩が、再び笑い出す。
これも、冗談になってしまうのか。A、お前は本当に冗談だと思ってるのか。ああ、俺は。
そんな気持ちに蓋をする様に、俺はAを抱きしめる腕に力を込めた。
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ももち@ - サクラさん» 有難う御座います…!進学してから中々更新できる機会がなかったのですが漸く更新出来ました…!これからまた更新させて頂こうと思います、よろしくお願いします! (2018年5月5日 19時) (レス) id: 2acfca4f19 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - 更新楽しみに待ってますので戻って来てください! (2018年4月24日 23時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
ももち@ - レミリアさん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません;;たった今更新させて頂きました!お褒めの言葉も有難う御座います、これからも更新頑張らせて頂きますね! (2018年2月1日 23時) (レス) id: dc32f552dc (このIDを非表示/違反報告)
ももち@ - ダメ天使さん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません;;そう言ってもらえて嬉しいです!たった今更新させて頂きました!これからもダメ天使さんはじめ読者の皆様に喜んで頂けるよう頑張りますね! (2018年2月1日 23時) (レス) id: dc32f552dc (このIDを非表示/違反報告)
レミリア(プロフ) - このお話とても面白いですね!更新待ってます! (2018年1月18日 22時) (レス) id: 8e9961abf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももち | 作者ホームページ:ありません(´・ω・`)ショボーン
作成日時:2016年3月28日 14時