次男と彼女のきっかけ ページ7
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きっかけか、そうだな、はっきり覚えてるぜ、きっかけは部活動見学だったんだ。
学校が始まって、各々が何部に入ろうかと考える時期。この俺は入学する前から演劇部に入ろうと決めていた。
そして放課後に演劇部の体験をしてきた。
フッ……やはり俺には演劇部が向いているようだ。俺が俳優になる日も近いだろう……
「……カラ松?」
「……っぅお、?!」
俺としたことが、突然でしかも背後からのことだったので間の抜けた声をあげてしまった。
……だが俺はこんな事でペースを乱されるような男ではない。
俺は冷静沈着、クールな男だ。こほん、咳払いをしてペースを整えてから、話しかけてきた目の前の彼女に視線を向ける。
「……なんだ、俺に何か用か?」
「えへ、良かったやっぱりカラ松だ。
私同じクラスの佐藤 Aっていうんだ」
A、と名乗った彼女はにこりと俺に微笑んだ。
そうだ、彼女はさっきの見学の時にいた────成程、見たことがあると思ったが同じクラスだったのか。
「フッ……、Aか、宜しく頼むぜ」
そう言い、手を差し出すと彼女は吃驚した表情を浮かべた。
……ああ、初対面の女子相手に手を握るのはやはり不味いのか?動かない彼女の顔を見やる。
それとほぼ同時のことだった。
「……カラ松って案外普通なんだね、ふふ、こちらこそ宜しく」
手を握られる。柔らかい。女子の手だ、当たり前だが。……いや、問題はそこではない。一番の問題は、
「案外、普通……どういうことだ子猫ちゃん」
「あ、全然普通じゃないわ。前言撤回、くく……子猫ちゃ……ふは、」
俺の手を握りながら笑いを噛み殺すA。
何故笑っているのか全く分からないが、俺の言葉で彼女が笑顔になれたなら良いことだ、と思う。
「くく……はー……面白い、
……あ、そうだ、話す機会があったら言おうと思ってたんだけど、
私さ、カラ松の自己紹介大好きなんだよね」
「成程、俺の魅力に惹かれるのは分かるが……自己紹介が好き、というのはすまないが分からないな……」
言いながら、頭の中で自分の自己紹介を思い出す。
ふむ、完璧な自己紹介だ。将来の展望に俺の魅力を余すことなく伝えられたパーフェクトな紹介文だったと自負している。
「……くく、本当にウケ狙いとかじゃなくてマジなんだね、その姿勢好きだよ、ふは……くひ、」
だから、何故笑っているんだ。
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ももち@ - サクラさん» 有難う御座います…!進学してから中々更新できる機会がなかったのですが漸く更新出来ました…!これからまた更新させて頂こうと思います、よろしくお願いします! (2018年5月5日 19時) (レス) id: 2acfca4f19 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - 更新楽しみに待ってますので戻って来てください! (2018年4月24日 23時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
ももち@ - レミリアさん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません;;たった今更新させて頂きました!お褒めの言葉も有難う御座います、これからも更新頑張らせて頂きますね! (2018年2月1日 23時) (レス) id: dc32f552dc (このIDを非表示/違反報告)
ももち@ - ダメ天使さん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません;;そう言ってもらえて嬉しいです!たった今更新させて頂きました!これからもダメ天使さんはじめ読者の皆様に喜んで頂けるよう頑張りますね! (2018年2月1日 23時) (レス) id: dc32f552dc (このIDを非表示/違反報告)
レミリア(プロフ) - このお話とても面白いですね!更新待ってます! (2018年1月18日 22時) (レス) id: 8e9961abf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももち | 作者ホームページ:ありません(´・ω・`)ショボーン
作成日時:2016年3月28日 14時