【おそ松さん】兄弟なんだし女の趣味位被るだろ｡【全松】

長男の自覚 ページ3

.





Aの飾らないさっぱりとした性格からか､すぐに俺とAは仲良くなった｡
まあカラ松っていう共通の知り合い?兄弟?どっちでもいいけど､そういう共通の奴が居たっていうのも大きいと思う｡

まあ､そんな感じでそこそこAと仲良くなってきた頃の事だった｡



その日､休日だった俺は学校も無いので家でだらだらと過ごしていた｡
いや､うん｡まあ暇だったよね｡好きな漫画はもう何回も読んだし｡兄弟は部活がどうとか友達がどうとか言って出てったし｡

本当に暇すぎて､たまたま近くにあった新聞を手に取った｡
……っつってもテレビ欄でも見ようかなって思っただけなんだけど｡




｢…………お｣




新聞を開いた時にまず目に入ったのは､1枚の折り込みチラシだった｡

水族館のチラシ｡場所も電車1本､3駅で行けるところにある｡
イルカショー等の一般的な物もあればそこにしかいない魚もいるらしい｡
そして世間一般では割高な水族館の料理も比較的良心的｡旨そう｡行きたい｡

兄弟でも誘って行くか｡
そんなことを思いながら入場料の欄をチェックする｡





──入場料､2000円





……たっか｡学生料金でこれかよ｡
なんか割引とかねえのかな……お､なんだあるじゃん｡うわ､すげえ半額｡1000円なら行けるじゃん､何の割引だよ｡





｢…………えーっと､男女の､カップルにつき､半額……｣





……なんだなんだ？


え？モテない童貞野郎は倍額払えってか､クソかよ何がカップルフェアだ死に晒せ！！！！

スパーンと小気味よい音を立ててその場に例の童貞差別主義糞広告を叩き付けた｡



畜生女もいねえ男はここまで差別されなければならないのか｡
悲しみに暮れながら自分で叩き付けた広告を自分で拾い上げる｡うわ虚しい｡

そして拾い上げたその手の中にある広告をもう一度見る｡
ああ､はいはい｡男女で来たカップルは半額なのね｡分かった分かっ────





｢…………あ｣





そうだ､男女で半額なら彼奴誘えば良いんじゃん｡

ああ､何で気付かなかったんだろう｡やっぱり持つべきものってそこそこ仲のいい女友達だよな｡





いつの間にか俺の手は自然と電話に伸びていた｡




.

長男の自覚2→←長男と彼女のきっかけ2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す