△９▼ ページ9
・
翔「・・」
和「・・」
パイプ椅子に座ったら、気まずい沈黙。
潤君の「すー・・」っていう寝息が聞こえる。
・
翔「・・じゃ、二宮くん来たし、俺会社戻るわ」
そう言って、立ち上がる。
翔さんは一度潤君の顔を見てから病室のドアへと向かう。
――その背中を見ても、モヤモヤしてない自分に気づく。
・
今なら、素直に言えるかも。
・
和「・・色々、ありがとうございました」
翔「いや、気にしないで」
――そう、思ったのに、口を出た『色々』って言葉。
そうじゃない。俺が言いたいのはそれじゃないだろ。
・
もう、ガキじゃないんだろ？俺。
・
和「・・・朝の迎えも、助かります。ありがとうございます」
翔「・・」
和「櫻井、さん？」
じっと俺の目を見つめる翔さん。
だけどすぐに目を逸らして、手を振って出て行った。
・
和「ふぅー・・」
思わずでるため息。
やっと、お礼言えた。目を見て、ちゃんと言えた。
和「潤君・・」
そっと頬を撫でる。
翔さんが帰ると、緊張感がなくなりさっきの言葉を思い出した。
・
・・・パニックって、どういうこと・・？
病院にいてびっくりしたのか？いや、でも薬を入れるほどはおかしい。
それとも、ただの体調不良じゃないのか？
・
・・・俺、また潤君のこと見えてなかった？
・
和「じゅん、くん・・」
教えてよ、全部、言ってよ俺に。
何かあるなら、抱え込まないで全部。
その気持ちを込めて頭を撫でる。
――触れれば全部、伝わればいいのに。
・
潤「・・っ」
和「・・潤君！起きた？」
面会時間ギリギリになって、ピクッと瞼が動いた。
急いで顔を覗き込むと、ぼーっとした瞳が俺をうつす。
和「ここは病院だよ？潤君、倒れたんだ」
潤「たおれ・・！」
和「潤君？」
小さい声で呟いた潤君は、瞳を不安げに揺らす。
潤「・・や、だ・・っ」
和「えっ、潤君？泣かないでよ、どっか辛い・・？」
潤「やだ・・こわ、い・・」
ポロポロと、体震わせながら涙をこぼす潤君。
何を聞いても体擦っても「嫌だ」「怖い」と繰り返す。
やっぱり、頭打っちゃったのかな・・・？
・
和「ちょっと待って、先生を・・！？」
潤「ん・・っ」
・
ナースコールに手を伸ばそうとしたら、
潤君が俺の首に手をまわし、唇を重ねてきた。
・
乱暴で、雑なキス。歯と歯が当たる。
――こんな潤君、初めてだ。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 953人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しょうちゃん(プロフ) - 続きが読みたいです！ (2020年5月19日 23時) (
レス) id: d034f78533 (このIDを非表示/違反報告)
梶 - おもしろかったです！たまに涙が出てくるようなシーンがあって話に夢中でした｡ありがとうございます♪ (2018年5月3日 12時) (レス) id: 11356a9e94 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みゅうな
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時：2017年8月18日 1時
