変わったはずの思いは幻_2日目_ ページ11
朝、なんとなく外を出たくなる時ってあるよね。例えば、後29日の命をどう使うか悩んだ時とか。これを考えているあたりもう一回自 殺する気が失せたってことだよね。昨日の出来事で随分と変わってしまった。
とまぁ、そんなごちゃごちゃした感情をスッキリさせようと外に出たわけ。治が、私のおとなりさんだってことをすっかり忘れて……
「お、お、おさ、む」
「……なに?3日も仕事を休んでた人が私に要あるのかな?」
その瞳には嫌悪と侮蔑の感情が滲んでいる。その感情を真っ直ぐに向けられる私は、やはり嫌われているのだと悲しくなって。其れを誤魔化すように下を向いて、謝る。
「ごめん……」
「はぁ。謝ることしかできないなら早く消えてよ」
「わ、私だってそのつもりで死んだしっ‼」
思わず顔を上げて反論する。
「え?今生きているくせに、嘘も程々にしてくれ給え」
__そうだ。治は私が自 殺して生かされたことを知らないんだ。
治だけじゃなく、探偵社のみんなも。いや、乱歩さんだけは気づいているのかな?……もう行くことは無いと思うけど。治がいる限り、ね。
「嘘じゃないって言ったって、信じないでしょ」
そう言うと治は僅かに目を見開き、嘲り笑った。
「ふふっ。そうだね。君のことは信じられないよ」
じゃあね。と手を振りながらこの場を後にする。私はその姿を只々見つめることしかできず、悔しかった。
__やっぱり、生かしてくれた青年には悪いけどもう一回自 殺しよう。
刹那、探偵社のみんなの顔が浮かび後ろ髪を引かれたが、やはり治が一番なのだ。世界は治だけじゃない。けど、中心にいる治が居なければバランスが保てなくなる。
歪んだ私の世界に失笑し、錆びた階段の手すりに手を掛け、体を空に放り投げた。
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シモナ(プロフ) - 太宰が好きさん» ありがとうございます!これからもこの作品と作者をよろしくお願いします! (2017年1月28日 11時) (レス) id: 9daf4d1881 (このIDを非表示/違反報告)
シモナ(プロフ) - 蝉さん» ありがとうございます!更新、頑張ります! (2017年1月28日 11時) (レス) id: 9daf4d1881 (このIDを非表示/違反報告)
太宰が好き(プロフ) - あぁ、、、私がはまるタイプだぁ、、、お気に入り作者いれます! (2017年1月28日 2時) (レス) id: 9272b634b0 (このIDを非表示/違反報告)
蝉 - 素敵です!!!更新楽しみにしてます!!! (2017年1月27日 20時) (レス) id: ef91e4f100 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シモナ | 作成日時:2017年1月27日 18時