63.鉢合わせ ページ17
AM 5:30
この時間にいつもAは起きるために、目覚まし時計のアラームを設定している。
エマと一緒に寝ていたこの日も5:30きっかりに、無機質な機械音がAの部屋に鳴り響いた。
Aは不快そうに眉をひそめて、無意識のうちに手を伸ばす。目覚まし時計のスイッチを叩くように押してアラームを止める。
その後、Aは布団を頭まですっぽり被って寝てしまう。俗に言う二度寝を毎回毎回やってしまうのだ。
エマがアラームの音で目を覚ました。
寝癖がアホ毛のようになってしまっていて、目がトロンとしている。
エマが重い瞼を擦りながら時刻を確認する。
「いけない！もう5時半！」
慌ててベッドから飛び起きて、窓枠を一気に飛び越えた。壁に添えるようにして置いた自分の靴に履き替えて、選手寮の裏手に向かった。
選手寮の裏手で誰もいない事を確認した上で、スマートフォンを取り出した。昨日の試合結果を確認するためだ。
(4-2で日本が2点差をつけて勝利…)
サッカーの特集記事には、ウスベキスタン戦で初めて試合に出た野坂の事について、大きく取り上げられていた。
野坂は脳の腫瘍を摘出するために海外に行って、ウスベキスタンとの試合当日に日本に帰国し、その足で試合会場に向かったのだ。
エマは記事を読むのに夢中になっていて、その時誰かが裏手に来た事に気づけなかった。
その人物はエマの近くまで足音を一切立てずに、エマのスマートフォンを隣から覗き込んだ。
「昨日の試合結果ですか〜勉強熱心ですね〜」
「か、監督⁉︎」
感心したように声を上げた監督。
エマは驚いて目を見開いた。
そんな事もおかまいなしに監督は話を続ける。
「帰ってきたなら連絡をしてくださいね〜家庭内の事情とは言え、仕事を休んでいるんですから」
「すみません…以後気をつけます…では…私は朝食の準備を手伝って来ます…」
その場から逃げるように強引に話を締めくくり、選手寮に戻ろうと踵を返すと、すれ違い様監督がエマの耳元で囁いた。
「ただ、ウソをついてまで試合を抜け出すのは感心しませんよ…」
一瞬だけエマの顔に動揺の色が見えた。すぐにいつもの表情に戻り、選手寮に行ってしまった。そんな後ろ姿を監督は意味不審に目を細めて見送っていた。
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加奈子(プロフ) - 星野結花さん» ありがとうございます！ (2019年12月1日 21時) (
レス) id: a62379125a (このIDを非表示/違反報告)
星野結花 - この小説すご〜く好きです!これからも頑張って下さい!応援しています(*^_^*) (2019年12月1日 10時) (レス) id: 09968e6ae8 (このIDを非表示/違反報告)
加奈子(プロフ) - りんねさん» 楽しんでいただけて幸いです！ (2019年6月14日 20時) (レス) id: a62379125a (このIDを非表示/違反報告)
りんね - 妖怪ウォッチもイナズマイレブンも大好きだから見てて楽しいです！ (2019年6月14日 20時) (レス) id: e73a160d29 (このIDを非表示/違反報告)
コロニャん - 返信ありがとうございました！ (2019年6月8日 13時) (レス) id: d3d7c71152 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：加奈子 | 作成日時：2019年4月4日 19時
