37、この大会には何かある ページ38
ペク「良いか。俺はお前の顔も名前も覚えたからな。妙な真似しやがったらただじゃおかない」
ペクを見上げ固まっていると、ペクはAに背を向けた。
ペク「お前の仲間を巻き込みたくはないだろ」
貴女「‼み…みんなにまで何かする気⁉」
ペク「それはお前次第だ。」
駄目、やめて。
みんなにだけは何もしないで。
ペク「とにかく命が惜しければ、黙ってこの大会を受け入れることだ」
Aを最後にギロリと見下ろし、歩いて行った。
貴女「じ…じゃあ、貴方は何にそんなに怯えているの⁉」
必死に去っていくペクの背中に声をかけた。
怖い人だけど、これはどうしても聞いておきたかった。
ペクは一瞬だけ歩みを止めたが、答えることなくAの前から姿を消した。
Aは呆然として今すぐには動くことができなかった。
とりあえずは、何もされなくて済んだ。ただ、彼の威圧にまだ体が震えている。あの恐ろしい目や声がすっかり脳裏に焼き付いてしまい、離れてくれない。
貴女「…やっぱりこの大会には何かあるんだ…」
私たちの知らないところで、何かが起きている。
そう確信できたその時。
大谷「Aちゃーん!」
貴女「っ‼」
遠くからつくしの声が聞こえたことで、Aは我に返った。
と同時に、慣れ親しんだ声を聞いてとてつもない安心感があった。
貴女「つ…つくしせんぱーーい‼」
ようやく立ち上がることができたAは走ってつくしの元へ走った。
大谷「あれ?Aちゃん、まだ着替えてなかったの?みんなもうバスに乗り込んじゃってるよ!」
つくしはまだユニフォーム姿のAを見て困ったように眉を下げた。
それが今のAには安心以外の何者でもなかった。
Aは思わずつくしに抱きついた。
大谷「わ!Aちゃん、くすぐったいよ〜」
貴女「つくし先輩〜」
つくしは笑ってAを抱きしめ返したが、どこかAの様子がおかしいことに気づいた。
大谷「…どうかしたの?何かあった…?」
貴女「…いえ、何でも」
大谷「そう?」
変に心配させたくないので、何も言わなかった。
でも今だけはこうさせて。
すっかり落ち着いたAはつくしから離れ、精一杯の笑顔を作った。
貴女「…待たせてごめんなさい!すぐ着替えて来ますね!」
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作者名:紅葉 | 作成日時:2019年5月27日 23時