36、手段を選ばない ページ37
貴女「あの時何があったのかを知りたいだけなんです！」
ペク「…」
ペクが豪炎寺に何かしたとしか思えない。
とはいえ彼の上から下を見てみても、どこにも怪しい細工をしたような形跡は見当たらない。
目眩ましなんてバレずにどうやってできるというのか、Aには分からなかった。
ペク「証拠は？」
貴女「えっ…」
ペク「俺が何かしたっていう証拠、あるんだろうな？」
貴女「…！」
痛いところを突かれた。
ただ怪しいというだけで、証拠などどこにも無いのだ。
ペクが少しでも動揺の色を見せてくれさえすれば、まだ確証も持てる。Aはそれを狙ってペクに揺さぶりをかけてみた。
だが、やはりそう甘くはない。
ペク「無いなら大人しくしてるんだな」
貴女「…ごめんなさい」
確かに証拠も無いのに疑うのは良くなかった。
でも、まだ聞きたいことはある。
貴女「…じゃあ…ソクさんにどうしてあんなことしたんですか？」
ペク「…！」
貴女「貴方のチームのキャプテンでしょ⁉そんな人をどうして痛めつけたりしたんですか！」
ペク「…うるせぇな。お前には関係ないだろ！」
ペクもAの質問攻めにイライラしている。
しつこいのは分かってる。ただどうしても理解できないのだ。
貴女「誰かを傷つけるなんて…しかもサッカーを使ってなんて、許されませんよ！」
ペク「…おめでたい奴」
ペクは真っ直ぐすぎるサッカー選手を前に、目を細めた。
ペク「俺たちは手段を選ばない。ミッションの邪魔をする奴がいたら、味方だろうが徹底的に排除する…それだけだ」
貴女「ミッション…？貴方達は何が目的なの？」
ペク「…イナズマジャパンの…西村Aと言ったな。お前に一つ忠告しといてやる」
貴女「忠告？」
ペク「この大会でお前がしたいサッカーができるなんて思うな。」
貴女「え…」
どういうことだろう。
ペク「それと、余計な詮索はするな。お前がちょこまか動いたところで何にもならない」
ペクはAの耳元に顔を寄せてきた。
ペク「…今のこと、誰かに言ったら許さねぇからな」
貴女「…っ⁉」
より低いトーンで脅しを囁かれた。
Aは驚きと恐怖のあまり腰を抜かしてしまった。
ペク「はっ。良い反応するじゃねぇか」
ペクはそんなAを冷笑して見下ろした。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年5月27日 23時
