嘘つきはだぁれ？ ページ3
ヨコハマの街を歩く、二人の男女。
黒いセーラー服を来た少女の目は酷く冷たく、悲しそうだった。
何処か身なりの整った男の目は、何処か優しげだった。
引っ張るように青年を連れて行く少女の手は、僅かに震えている。
『これでいい』
辿り着いた先は、始まりの川縁だった。
川が太陽の光を集めて反射する。
キラキラと宝石のように光る川が、今の心情と反対で皮肉めいたものに感じた。
「ここなら、貴方の護衛がいても私からも見えます」
銃口を一切動かさず、淡々と彼に云う。
見通しがきくここならば、襲撃の可能性は低い。
なにも云わない彼に苛立ちが募る。
「芥川の妹を誘拐したのは、貴方達ポートマフィアですか」
白髪の少年が襲撃した時、芥川に渡されたのは彼の妹の写真だった。
その場の状況から、乱歩が推理したのだ。
それでも彼に問う。
「そうだ」
否定して欲しかったから。
違うと云って欲しかった。
でも現実は変わらない、Aの片方の手がカタカタと震えた。
「貴方は、ポートマフィア首領太宰治で間違いありませんか」
「…あぁ、間違いない」
「ッ！貴方は！」
淡々と答える彼に顔が熱くなった。
悔しくて、悲しくて、感情がぐちゃぐちゃと乱される。
「貴方は今までずっと私を探偵社と知って騙していたんですか！？
この街を支配するポートマフィアの首領が！
何故わざわざ私のような小娘を欺き、あんな、あんな風に…」
あんな風に私を励ましたんですか。
「なにが、売れない小説家だ…貴方はこの街の裏の支配者だった…。
芥川の妹を誘拐した張本人だと知っていれば私は…！！」
私はこんなにも貴方を信用しなかったのに。
悲痛な少女の叫びを、津島は、いや太宰はじっと見つめている。
「…私は、滑稽でしたか…」
「！」
銃口が、力なく落ちる。
情けなかった、こんな自分が、そして悲しかった。
「貴方にとって、私はちょうどいい遊び相手だったのですか…？」
判っていた、自分が怒りよりも悲しみに飲み込まれていることに。
それを隠したくて、怒りを奮い立たせていた。
「私は、何の為にあんな…」
「それは違う！！」
太宰の声に、Aの肩がビクリと揺れる。
「すべて嘘じゃない、あれは嘘じゃないんだ！」
そんなこと云わないで。
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ゆんこ(プロフ) - 夢小説で初めて泣きました…3周くらいしても毎回泣いてしまいます、！ (9月11日 0時) (
レス) @page50 id: ea003ef446 (このIDを非表示/違反報告)
蒼真 - ほんとにすごいです…何回も読み返しています…その度に泣いてますよ…ほんとに天才だと思います。いやこれまじでアニメ化して欲しい。小泉ちゃん大好きです!!!! (8月19日 15時) (レス) @page50 id: c4ce57e384 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 本当に久しぶりに物語を読んで泣きました！すごく心に響いて毎度毎度わかっているのに泣いてしまいます。この物語を描いてくださってありがとうございます！ (8月14日 15時) (レス) @page50 id: d710d605b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - １年ほど前からずっと本編も番外編もBRASTも読み返しています🥹一つ一つの表現が素晴らしすぎて、同じく小説を書いているのですが勉強させてもらってます。ずっと応援し続けます！ (2022年10月27日 12時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - 本編、番外編を見てから来ました。二人のやりとりが本当に儚くもあり、切なくもあって、、本当に涙無しでは読めないくらい感動しました。素敵な作品に出会えて本当に良かったです！このような素敵な作品をありがとうございました。 (2021年9月21日 20時) (レス) @page50 id: df8a2b67ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2019年11月9日 21時
