織田作之助という男 ページ3
その名前にまず思ったことは、
あの有名な文豪の名前であるということよりも、
『あれ…なんだろう、これ…』
フラッシュバックする、石のようなものに刻まれた文字。
S.ODAという文字と、そこにもたれかかる誰かの光景。
『まただ、またこの記憶』
Aはぐっと頭に爪を立てた。
織田は青年を抱えたまま、顔を覗き込む。
「大丈夫か？」
「…貴方は、織田、作之助というのですか？」
「あぁ、織田作之助だ」
織田は当たり前のように答えた。
気のせいだ、きっとなにかの間違いなのだ。
「…あの、一つ聞いても？」
「あぁ」
「…それ、なんですか」
Aの目は化け物でも見るかのように、織田の小脇に抱えられた青年に向けられた。
汚れた格好の、細身の青年。
「人間だ」
「知ってる」
「多分男だ」
「…それも、見れば判ります」
「あぁ、成る程」
織田は真面目な顔のまま、告げる。
「行き倒れていたので、拾った」
「…拾った」
「あぁ、拾った」
「…ヒロッタ」
何故だろう、あの、敵しかいない家で育った警戒心が
この男の前では一切無駄だと本能が告げている。
「よし、帰るぞ」
「何処へ…！？」
「家に決まっているだろう」
「いや、そうじゃなくて…えっと…」
帰る？私も？
そう聞こうとしたが、織田がさっさと歩くのでつい付いていってしまった。
「あの、一つ聞きたいのですが」
「なんだ」
織田が振り向いたその瞬間だった、凄まじい殺気を感じた。
しかしそれよりも速く、織田が青年を投げ、Aを抱えて飛び退いた。
「ッ、なにが」
瞬間、先程まで自分の頭があった位置に黒い稲妻のようなものが走る。
近くにあった木がそれに触れた瞬間、切り刻まれた。
「な、にが…起こって…」
「異能者のようだな」
「…異能者？」
織田の腕の隙間から、黒い刃が放たれた方を見る。
そこには、フラフラしながら立っている青年がいた。
彼の着ている服が生きているように蠢いていた。
「知らないか、異能者」
「知ってる！でもあれは…」
その瞬間、Aは言葉を失った。
なにを知っているの、異能者なんて。
『なにも、知らないはずなのに』
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もこすけ(プロフ) - ちょこれーとさん» コメントありがとうございます。続編が出ましたので、そちらも宜しくお願いします。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2019年11月9日 21時) (
レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 今日めっちゃ更新多くて嬉しいです！！！ (2019年11月9日 20時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - azukiさん» コメントありがとうございます。一回目、そして二回目は…。今後の展開にご期待ください。読んでくださりありがとうございました。 (2019年11月4日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
azuki(プロフ) - 本当の笑顔…今回が一回目で、二回目は……あー！この後の展開が楽しみすぎます！これからも頑張ってください！ (2019年11月4日 8時) (レス) id: 2de50b2480 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - にゃんこさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます。そんな風に言ってもらえて嬉しいです。今後も頑張る力が出ました。これからも応援よろしくお願いします。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2019年10月14日 18時
