世界と切り離された出逢い ページ19
そこは、まるで他の空間から切り離されたような時間が流れるカフェだった。
「酷い目にあった…」
ほろ苦い珈琲の香りと、穏やかなクラシックが流れる店内。
数刻前の地獄を思い出し、一人窓際に座るAの表情は珈琲のように苦かった。
まさか治療と評してベルトで固定され、目隠しをされるとは思うまい。
『気分を切り替える為に入ったとはいえ、中々雰囲気の良いカフェだな』
大通りから外れているせいか、客は少ない。
でも、静かな雰囲気と外から切り離された空間は心安らぐものがあった。
ー海沿いの倉庫街で発砲音、裏組織の抗争か?ー
ここに来る前の書店で、センセーショナルな見出しの週刊誌を見かけた。
どうやらこの街には、ポートマフィアなる裏組織があるらしい。
話では、ここ数年、そう、四年の間に急激に力をつけているとか。
「物騒な世の中」
そもそも何故四年なのだろう。
四年前、なにがあったのだろうか。
『そもそも四年で大きくなにかが変わるなんてあるの?』
ー変わる、四年で人も物も大きく変わるー
彼女は知らないだけ、四年後、自分がどうなっているかも、今は知らないだけ。
『それこそ首領でも変わらない限り組織が変わるなんてことあり得ないか』
ふう、とため息をついて店員に珈琲を注文する。
すると、スカァトのポケットが規則的に震えた。
支給された携帯に着信がある。
「あ…」
電話の相手は国木田だった。
ここで話すわけにも行かず、店員に断ってから店の外に出る。
「はい、はい…判りました一応拳骨二発で」
芥川がまたなにかやらかしたらしい。
その報告を受けたAはキッチリ、教育的指導も含めて対応を考えた。
電話を終え、店内に戻ろうとした時、
ドン
「あっ」
前を見ていなくて、人にぶつかった。
体格の差があり、飛ばされそうになる。
だが、
「あ、ありがとうございます…」
「…いえ」
ぶつかった人に腰を支えられ、倒れることは無かった。
その人物は男性で、背が高く端正な顔立ちをしていた。
鳶色の瞳と髪が特徴的な、美しい人だった。
その人は、礼を云うと冷淡にそう返してきた。
「あの…」
「なにか?」
何故だろう、この人を見ていて思った。
「何処かで会ったことがありますか?」
その言葉に、その人はまるで泣きそうな顔をしたのをよく覚えている。
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もこすけ(プロフ) - ちょこれーとさん» コメントありがとうございます。続編が出ましたので、そちらも宜しくお願いします。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2019年11月9日 21時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 今日めっちゃ更新多くて嬉しいです!!! (2019年11月9日 20時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - azukiさん» コメントありがとうございます。一回目、そして二回目は…。今後の展開にご期待ください。読んでくださりありがとうございました。 (2019年11月4日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
azuki(プロフ) - 本当の笑顔…今回が一回目で、二回目は……あー!この後の展開が楽しみすぎます!これからも頑張ってください! (2019年11月4日 8時) (レス) id: 2de50b2480 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - にゃんこさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます。そんな風に言ってもらえて嬉しいです。今後も頑張る力が出ました。これからも応援よろしくお願いします。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年10月14日 18時