検索窓
今日:48 hit、昨日:3 hit、合計:131,135 hit

教育的指導執行 ページ12

Aと芥川が睨み合う。
その様子を見ていた谷崎が取りなすように説明する。



「えーと、二人とも。
もう知ってると思うけど、一応紹介するよ。
こちら織田作之助さん、二年前に入社した探偵社員で、今日から君達の指導をする先輩」



睨み合っていた二人は、互いに舌打ちをして織田の方に向き直る。
芥川が先に、「宜しく頼みます、織田先輩」と頭を下げる。



「…宜しく、お願いします」



Aも続けて頭を下げる。
意識は一切芥川から逸らさないまま。



「川縁にて織田先輩に見出して頂けねば、あのまま斃死の憂き目でした」



その発言に、国木田は「孤児を見ると放っておけないのは織田の習性だからな…」と呟く。
ちなみに、織田自身には特に理由は無いらしい。



「…ん?」



織田は、女給によって運ばれたカレーを一口食べ、眉を動かす。



「このカレー…全然辛くないな、子供用か?」



織田が背を向け、店員へと声をかける。


「お姉さん、すまないが、もう少し辛口の」



その瞬間、芥川の羅生門が織田に襲い掛かった。
だが、それが判っていたように織田は匙で軌道を変えて攻撃を防いだ。
やはりか、とAは苦い顔をする。



「辛口のカレーに換えて貰えるか?」



「な…」



コンマ数秒で起こった攻撃に、国木田達は仰天する。



「い、今のは何だ?」



「カレーは辛口に限るからな」



国木田が云いたいことはそうではない。
今目の前で起こった殺人未遂についてだ。
Aはポキポキと手首を鳴らして芥川に近づいた。



「違う!おい新人!今のは何の、」



ふわりと、芥川の目の前で黒い制服の裾が揺れる。
雪を思わせるような白い手が彼に伸びて。



ゴン!!



「つもり…だ…?」



響いた鈍い音に、国木田の大声が止まる。
芥川は額を押さえて「うっ…」と呻いた。



「なにをする…」



「外で、しかも人がいる前で異能を使うなって云った筈だ。
ちなみにこの話は四回目、いい加減覚えろ」




呆れたような表情をしながら、Aは芥川に手刀を入れた手を撫でた。
当初、織田は芥川が攻撃してくるのを特に咎めなかったが、
規律を重んじるAがそうは行かなかった。



「ふん…ならば次は周囲に告げてから…」



「芥川」



「…手を下ろせ」



「…せ、制御しとる…」



Aが手を掲げると、芥川は忌々しげに舌打ちをしながら大人しくなった。

彼の探し人、彼女の探し人→←織田作之助が拾ってきた新人は



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (192 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
284人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

もこすけ(プロフ) - ちょこれーとさん» コメントありがとうございます。続編が出ましたので、そちらも宜しくお願いします。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2019年11月9日 21時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 今日めっちゃ更新多くて嬉しいです!!! (2019年11月9日 20時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - azukiさん» コメントありがとうございます。一回目、そして二回目は…。今後の展開にご期待ください。読んでくださりありがとうございました。 (2019年11月4日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
azuki(プロフ) - 本当の笑顔…今回が一回目で、二回目は……あー!この後の展開が楽しみすぎます!これからも頑張ってください! (2019年11月4日 8時) (レス) id: 2de50b2480 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - にゃんこさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます。そんな風に言ってもらえて嬉しいです。今後も頑張る力が出ました。これからも応援よろしくお願いします。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もこすけ | 作成日時:2019年10月14日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。