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Aの周りに黒いオーラが見える。
周囲の人々が自然と道を開けるくらいには殺気立っていた。
あれで正義側の人間だと云うのだから、マフィアも真っ青だろう。
ナオミは、随分耐えてついて行っていたが、この際だから思っていることを口にした。







「Aさん、ファーストキスでしたの?」








Aは容赦のないナオミの言葉に立ち止まり、そして膝から崩れ落ちた。
通行人がギョッとする、ナオミが察する、そして友人の腕を掴んで引きずるようにカフェに逃げ込む。
一連の動作は流れるようで、事務員といえど探偵社員らしかった。






「すみません、トドメを刺してしまいましたわ。
ここのカフェ、美味しいんですのよ、奢りますわ」







「ここのカフェ…前に魔人が逮捕された所だから好きじゃない…」








よりにもよって地雷中の地雷を踏み抜いてしまった。







「…初めて、だったのに…」








「今まで誰とも?」








「当たり前だ…十八年…まともに恋愛なんてしてないから…」







「ではここから恋愛を始めましょう。何事も経験ですわ」








「無理」







「ようは考え方ですわ、あの殿方を好きになれば結果オーライです」







「…」








「あ、でも太宰さんが黙ってませんわね」








「だからなんでそこであの人が出てくる…」







「それにしても、まさかあんな事故的にキスが起こるとは思いませんでした」







ナオミは頬を赤く染め、「ドキドキしましたわ」と微笑む。
Aは机に突っ伏し、うめき声をあげる。








「私は…なんてことを…」








「まあまあ、そんなに落ち込まれないで。
別にキスの一つや二つ、私も兄様としていますわ」








「…口に?」








ナオミがにっこり笑う。
これ以上は詮索しない方が良いだろう。
Aはふいに、キスの感覚を思い出して唇に触れた。






「…変な感じだった」








「と、云いますと?」








「なんか…こう……うっ、頭が」







「拒絶反応起こしてますね」








あんな行為を公衆の前でやるなど言語道断だ。
しかもかなり思い切り、30秒ほどかけて。
いよいよ脳が裏返りそうになった時、ポンと肩に手を置かれた。







「…あ」







振り向くと、息を切らした条野がいた。
蘇る、口づけの時の感覚。
Aはつい、反射的に、悪意は無く、混乱して、思い切り。







パァン!!








本日二発目の平手を入れてしまった。

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もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» 恥ずかしさが上回り、凶暴化する小泉なのでした。ご質問ありがとうございました。 (2019年12月22日 19時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - なるほど可愛らしいところもあるけどそれ故に凶暴なんですね!返答ありがとうございました。 (2019年12月22日 18時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» コメントありがとうございます。はい、ききます。ですが本人も理解しているので近づかれた瞬間相手は宙を舞うでしょう。あと場合によっては殴られるので誰も小泉にやろうとしません。 (2019年12月22日 15時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - コメント失礼します!ものすごく気になったことなので質問します。小泉ちゃんって脇腹ききますか?! (2019年12月22日 13時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 姫歌さん» ありがとうございます。私もとても楽しかったです。またコラボしましょう。ありがとうございました! (2019年8月17日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年6月16日 20時

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