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敦は、犠牲者がいないという結果と、人狼を見つけられたという結果に喜んだ。
昨晩の占いで、人狼は太宰だと判明した。
だから、この会議で太宰を吊れば市民サイドの勝利なのに。







「…は?」








Aは、信じられないものを見るような目で太宰を見つめていた。
太宰はニッコリと笑いながら、口元に手を当てている。







「どうしたんだい?そんな鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして。
いや…君は鳩というより別の生き物だったかな?」







「…ッ」








Aの顔は、いつもの涼やかさは無く、焦りが浮かんでいた。
敦は単純に理解できず、鏡花の方を向く。
彼女もまた首を傾げていた。






「とうとうヤバイの二人がかち合ったな」






「A、昼ドラみたいな顔してるね」







「うわぁ、あの二人やっぱり役職持ちでしたか…」







その頃、死亡者が集められた部屋から中を覗く乱歩達は
とうとう化けの皮が剥がれかけたAと、引っ剥がしにかかる太宰を見て云った。
脱落したとは思えないほど空気は穏やかで、
自分たちの役職を公開し合っては「あいつが人狼だったかぁ」と和やかに話す。








「さて、ここからが見ものだな」









乱歩は、口の中の飴玉をガリっと噛み砕いた。







『やられた!嵌められた!』








Aはこちらを見つめながらクスクスと笑う太宰に歯ぎしりをした。
全て昨日の夜のターンで終わるはずだったのに。
"人狼である太宰が他の誰かを襲撃すれば"勝ちだった。







『恐らくあの人は私を襲撃しないだろうとは思っていた。
だが…まさかこんなことになるとは』







うやむやのまま、"敦が気づかぬまま"終えられれば良かったのに。







『いや、どちらにせよ今日の会議で太宰さんは追放される』







Aはスッと表情を変え、敦の方を向いた。
彼を吊るせば、"私の勝ち"。







「敦、鏡花、人狼は太宰さんだ。
彼を追放すれば、"私達市民の勝利"だ」







「わ、わかった」








「うん」








二人は頷く。
しかし、太宰が黙っているはずもなかった。







「二人とも、本当にいいの?」








彼は不敵な笑みを浮かべている。







「"占い師"でも"市民サイド"でもない彼女を信用して」







「…え?」








敦が瞠目すると、Aは舌打ちをした。
そして太宰は言葉を続ける。







「もう一度、よぉく考えてみたまえ」








見逃した、Aの役職を。

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もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» 恥ずかしさが上回り、凶暴化する小泉なのでした。ご質問ありがとうございました。 (2019年12月22日 19時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - なるほど可愛らしいところもあるけどそれ故に凶暴なんですね!返答ありがとうございました。 (2019年12月22日 18時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» コメントありがとうございます。はい、ききます。ですが本人も理解しているので近づかれた瞬間相手は宙を舞うでしょう。あと場合によっては殴られるので誰も小泉にやろうとしません。 (2019年12月22日 15時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - コメント失礼します!ものすごく気になったことなので質問します。小泉ちゃんって脇腹ききますか?! (2019年12月22日 13時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 姫歌さん» ありがとうございます。私もとても楽しかったです。またコラボしましょう。ありがとうございました! (2019年8月17日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年6月16日 20時

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