【文スト】この世界と番外編 その十三

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立原がAの尋問(？)に泣きそうになった頃、漸く仲間からもうやめてやれとストップが入った。
暫く彼は本職に戻っても悪夢に魘されるだろう。







「駄目だ…マフィアとのトラブルが起こる予感しかない」







「今さっきマフィア泣かせる寸前だったとは思えない発言」







「なんのことやら」








早くも芥川と敦が喧嘩を始めた為、双方異能を操ってねじ伏せた。
だが、ここのメンバー全員の大乱闘になった場合、かなり骨が折れるだろう。
そうこうしている間に、何故かマフィアと花見を始めていた。







「あーん、桜も素敵ですが兄様はもっと素敵！」







「あ、ちょ、ナオミこんなところで…あっ」








「うははは！桜の樹の下には屍体が埋まっているらしい。
よーし、掘り起こして調べてみよう！」







「社長ー、お菓子無いよー」







「わぁ、あの桜、軽く人を撲殺できそうですね！」







「芥川先輩、春といえど日差しが強いので日傘を…！」








「芥川ぁあ！！」







「人虎ぁああ！」







もはや何が起こってるのかすら把握できてない。
元々個性が強い探偵社とマフィアで花見をしたら
それこそ各々好き勝手する為収集がつかなくなる。
ツッコミ役の国木田は早くも与謝野の絡み酒により撃沈した。
太宰は中也を揶揄い、それに中也が怒って乱闘になっている。
Aは止めることを早くも放棄し、桜の木を眺めていた。
鏡花が彼女の服の袖をちょいちょいと掴む。







「…止めに行かないの？」







「鏡花はサバンナでの猛獣同士の戦いを止める？」







「止めない」








「つまりそういうこと」







「成る程」








桜の花びらがひらひらと舞い散る。
ふと、その一枚が手のひらに落ちた。







「…綺麗」








かつて父と来た時の桜もこんな風に綺麗だった。
少しだけ昔を思い出し、過去に浸っていると、








「Aー！！」








エリスが抱きつきという名のタックルをかましてきて、うめき声をあげた。
その際に、桜の花がふわっと舞い上がる。







「あっちでお喋りしましょうよ！」







「私も」








二人の幼子がAの手を引っ張る。
父はいない、母もいないがここは温かい。







「騒がしいのも悪く無い」








桜舞い散る春、Aは人知れず笑った。
大騒ぎする仲間たちの中で。
春、温かい日差しの中で桜が意味ありげに揺れた。

黒の組織との邂逅 ［HANON様リクエスト］→←花見は静かに行うものです(？) ［桜様リクエスト］

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