【黒バス】藍色少女の噂話 EXTRA GAME 2

続57話 ページ8

橙山 日奈は幼い頃、失敗作とよく言われていた。
優秀な姉と不出来な妹はよく比較されていた。
何処にも居場所が無く、いつも泣いていた。
そんな自分を、姉であるAは愛してくれた。
優しく抱きしめて、自分を妹として認めてくれた。
離れ離れになり数年後に再会した後でも、
姉は自分を変わらなく愛してくれた。
しかし、その時から姉は心を己の手で苦しめ、
どんどん追い詰められていった。
その原因は自分にもあった。
自分の甘えが姉を追いつめていた。









ーだからもうお姉ちゃんを苦しめないー









頼るということを知らない姉を助けたい。
自分も姉の力になりたい。
だって









「それが双子なんだから」









同じ顔を持つ自分達。
目の前にいるのは自分の片割れ。
大好きな姉。









「私はお姉ちゃんの力になるよ。

だから、私を頼ってね」









もう弱い妹じゃない。
日奈は立ち上がり、選手交代をする赤司に近づいた。









「まだ希望はある、私を信じて」









赤司は全てを悟ったように頷いた。
ここから始まる逆転劇の鍵を握るのは自分。
チームのため、皆のため、そして姉のため。









「作戦は…」









皆の力になりたい。
弱かった自分を捨てようとは思わない。
弱かった自分も、今の自分を作った大切な存在だから。









「…以上が作戦。

あとは各自の判断に任せるよ」









「分かった。…橙山が立案をするとは思っていなかったが…

それは姉のためか？」








橙山は一瞬キョトンとすると、すぐに笑った。
人差し指を口元につけて、
まるで出会った時の藍澤のように。









「秘密」









彼女の笑みは確かに藍澤に似ていた。
赤司はクス…と笑ってコートに入っていった。









「試合再開！！」









さぁ、敵の度肝を抜いてやりましょう！

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