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二百四十五話 [合流、そして犯人は?] ページ47

その頃、敦と鏡花はフィッツジェラルドが用意した車で取引場所に向かっていた。
その時突然、なにかの音が敦の耳に届く。



「止めて!」



急ブレーキをかけ、車は止まった。
鏡花がどうかしたの、と問いかけると耳をすませていた敦は云った。



「戦闘音だ」



急いで車から降り、地面に耳をつける。
虎の聴力がある敦には様々な音が聞こえてきた。



「銃声に軍靴の音が沢山…それに聞き覚えのある足音が…あと…」



雑音に混じり聞こえる、聞き慣れた足音。
それと同時に聞こえる女二人の声。



『開きますか?』



『ちょっと待ちな…駄目だ重いね』



『代わってください、内側から蹴り飛ばします』



『やめな』



この音は地下から?
それにしてもこの声は、



「この辺には慥かマフィアの秘密通路が…」



内側からの力も加わり、開いたマンホールの穴から出てきたのは久しい顔。



「鏡花!?」



「与謝野さん!」



事件以来会えていない、与謝野だった。
与謝野の下には、マンホールの蓋を蹴り上げて吹っ飛ばそうとしたAもいた。



「敦!大丈夫かい?車ごと爆破されたかと…」



「あ…そうだ、あれは罠用の車でした」



「Aアンタそういうのは早く云いな!」



「と、兎に角車へ!」



軍警に見つかる前に車に乗り込み、数刻ぶりの仲間の顔を見る。



「…フィッツジェラルドに裏切られた?」



「あぁ、取引は罠だ。妾達を隠れ家から誘き出す為のね」



与謝野の言葉にAは目を伏せる。



『本当にそうなのか…?慥かにあの男ならやりかねないが…それ以上にあれは…』



あれは内部の者の犯行にしか見えない。
考えれば考えるほど、関係者に内通者が居るとしか思えないのだ。



「…有り得ません」



敦の曇りのない口調にAは僅かに目を見開いた。
理由はどうあれ、彼もそれは無いと思っていたのだ。
命のやり取りをした彼だからこそ判ること。



「…慥かにね」



そう答えた与謝野の顔は曇ったままだ。
ではだとしたら何故あんなことに。



「先ずはこの現場から離れましょう、運転手さん出発を」



その瞬間、敦の言葉が止まる。
顔を上げて彼が見つめる先を見たAは凍りつく。
運転手が血塗れで死んでいたのだから。



『軍刀!!』



その首には真っ赤な軍刀が刺さっていた。

二百四十六話 [死ぬな、絶対に]→←二百四十四話 [罰を受け容れる]



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riia - こんなに長いお話は初めてみるので尊敬します!他の夢小説よりちゃんとしていてすごく面白いです!神作だと思います!大好きです!登場人物の性格もちゃんと掴めていて見ていて楽しいです!ほんとに文ストの中に居そうで違和感がありません!設定とか凄いと思います!! (2022年8月5日 16時) (レス) @page24 id: 9d716aa4c8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - †三毛猫†さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。泣いていただけたようで、書いているこちらとしてはとてもありがたい事です。とても嬉しいです。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2019年5月19日 12時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
†三毛猫†(プロフ) - 毎回、夢主ちゃんの過去のお話しで泣いてしまいます。こんなに感動できる物語がかける作者さんを尊敬してます (2019年5月18日 19時) (レス) id: a139b9767e (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - さくらかつきのようになりたい←さん» コメントありがとうございます。そんなに喜んでいただけるとこちらとしても書いていてよかったと思います。近々、第7章を出しますのでよろしければ読んでください。皆様の応援、大変嬉しいです。今後とも、この作品をよろしくお願いします。 (2019年5月18日 13時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
さくらかつきのようになりたい← - BEASTも楽しみにしてます!小泉ちゃんがどう活躍(?)するのか…アッダメだ私の脳じゃ思い付かない…!!(←)コホン…体調にも気を付けて、作者さんのペースで更新して下さい!(← 何か上からで済みません…!!)我々読者は何時までも待ち続けております!!長文失礼しました! (2019年5月17日 20時) (レス) id: 1276fff981 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年6月9日 19時

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