君だけを ページ41
反抗心を、捨てろ。
ただ従順に、無心に。
心を捨てて
この瞳には何の感情も映しやしない。
「…メディア、でしょうか。」
コロコロと楽し気に表情を変える君を、横目に少し見ることができればそれだけで
僕は今は満足だ。
「はは、その通りだ。しかし所詮中学生のお前たちがどうメディアに働きかけても、その影響力には限度がある。そこでだ。」
そう、今僕は中学生で
それもまだ一年生だ。
君が中学3年の2月に余命宣告をされたということは
幸いにも、もう少しだけ時間がある。
この世界を変えることができる有効期限を、余命宣告の1年以上前に設定するとしても
今から1年以上は猶予があるということだ。
「来年の夏_________に目標を定め、フットボールフロンティアを利用することにした。お前たちには今から王帝月ノ宮のサッカー部員として、サッカーをしてもらう。そして来年度、優秀な新入生を新たに加えて11人以上のチームを作り、確実に優勝を果たすのだ。」
さぁ、僕の戦場は
もうここしかないだろう。
「どんな必殺技を使おうが構わない。勝利のためには手段を選ぶな。」
僕が別世界で知ってしまったサッカーとは、暫しの別れだ。
僕は愛してやまないサッカーを道具のように扱い
残酷に、冷酷に、無感情にもがいて
君を救う。
君だけを、救う。
「勿論です。どんな手を使ってでも、僕は必ず勝利を掴む。」
オーナーの言う“勝利”がどんなものかは知らないが
来年の8月に開催されるフットボールフロンティアでメディアの注目を僕らに集め
そこでアレスシステムの重大な欠陥を暴露できれば、僕の勝ちだ。
だから、それまでは
「僕らアレスクラスターの運動能力や戦術力は、一般人と比べれば天と地の差。僕が必ず、フットボールフロンティアでの優勝を果たしてみせます。」
アレスの忠実な駒として
動かされ続ける“フリ”をする。
「野坂。お前はアレスクラスターの中で最も優秀で忠実な人材だ。キャプテンとしてチームを導け。」
「はい。必ず。」
大丈夫だ、やれる。
僕には絶対的な力がある。
それはアレスシステムが育て上げた力なんかじゃなくて
君という命そのものが与えてくれた力だ。
僕はやるんだ。
___________やるんだ。
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カトラオ - はじめまして!!もちまるさんの小説に出会えて毎日仕事終わりに読むのが楽しみで仕方ありません。まだ全部読み切っては無いのですが、感動とドキドキの展開を毎日楽しみにしていることだけどうしても伝えたかったのでコメントを残します。 (2020年7月22日 21時) (レス) id: eccc16e070 (このIDを非表示/違反報告)
miginoaoi(プロフ) - 全部読みました。ボロ泣きしてしまいました…すごく切なくて感動する話ですね。続気が気になりました!今は無理でも貴方様の更新をずっとまちます! (2020年1月15日 0時) (レス) id: 5d51d334c7 (このIDを非表示/違反報告)
ハニートースト 通称,ハニトン!(プロフ) - 作者様の作品は全て読ませていただきましたが、完全に虜になりました。言葉選びが繊細で、儚くて、思わず世界に入り込んだ気分で読んでしまいます。こちらの小説なのですが、co shu nieというバンドのアマヤドリという曲がピッタリだったので、伝えてしまいました。 (2020年1月6日 19時) (レス) id: b6696be840 (このIDを非表示/違反報告)
聖羅(プロフ) - 初めまして。この小説を読んで泣きました。もちまる。さんの小説がとても大好きでずっと待ってました。これからもずっと応援してます! (2019年12月24日 23時) (レス) id: 07b14ef242 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ☆(プロフ) - 初めまして。君の脳になりたいの方を読んで此方にきました。私、本や映画を見ても絶対泣かないのに、この小説と君の脳になりたいの小説では泣きました。私は今不登校で、死にたいって思ってたけど、これを見てまだ頑張ろって思えました。何年でも待ってます。頑張れ! (2019年11月28日 14時) (レス) id: 65ed62dd2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちまる。 | 作成日時:2019年8月12日 21時