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封筒 ページ27

止まってしまった君の僅かな浮き沈みに、僕は暫く頭と心の中が空っぽになって


その空虚な中身を埋めるかのように


僕は一人、その部屋で泣いた。


君の重みは、確かに僕の体にのしかかっているというのに


もうその口から声は出ないし


その目を開けて僕を見つめることも二度とないし


その手で僕に触れることだって、ない。


ずっと覚悟していたことなのに
どうしたってこの現実を受け入れることは僕にはできない。


嘘だと思いたい。


これが夢であってほしい。


たった一日でいいから、過去に戻りたい____________。



刹那、机の脚の脇で青い光が一瞬煌めいた。


「……あぁ。」


一度目の八月と同じ場所に、それは転がっていた。


これを使えば、僕はまた君に会える。


これから起きることをまだ何も知らない、生きている君に。


その青さに引き寄せられるように、僕はそれを摘み上げた。


窓から射し込む光に透かしてみたら
その青さがより一層綺麗に見えた。


_________過去に、戻るか。


…いや、やめておこう。


もう一度過去に戻ったところで
僕はきっと前には進めないと思うから。


君が死ぬという未来が決まっている過去には


もう僕は戻らない。


だって君と約束したんだ。


友達を大事にして、恋人を愛して、幸せに生きると。


君以外に愛せる人などいるものかというのが正直な本音だ。


だから、これからだって君を愛そう。


もう二度と会えなくても、もう二度と触れられなくても、


僕は一生をかけて君を愛そう。


だって僕は
君の幸せに生かされ、君の幸せに生きていたから。


これからも正々堂々、君の幸せに生きていたい。


青いカケラを、大切に自分のポケットの中にしまった。


これは過去に戻るための道具ではなくて
僕と君の、一夏の奇跡を思い出すための宝石だ。


そのカケラを眺めて、ようやく少しだけ冷静さを取り戻した僕は
一つだけため息をついて、改めて部屋を見渡した。


君が生きていた部屋だ。


君と一緒に過ごした部屋だ。


二ヶ月______いや、四ヶ月の思い出が頭の中を巡り巡って
胸がギュッと苦しくなった。


「……え?」


ふと、部屋の隅に一枚の封筒を見つけて


その宛名に、僕は思わず声を漏らした。


“野坂くんへ”


それは紛れもない、


生きた君が書いた文字だった。

手紙→←夏の晴れやかな朝に



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カトラオ - はじめまして!!もちまるさんの小説に出会えて毎日仕事終わりに読むのが楽しみで仕方ありません。まだ全部読み切っては無いのですが、感動とドキドキの展開を毎日楽しみにしていることだけどうしても伝えたかったのでコメントを残します。 (2020年7月22日 21時) (レス) id: eccc16e070 (このIDを非表示/違反報告)
miginoaoi(プロフ) - 全部読みました。ボロ泣きしてしまいました…すごく切なくて感動する話ですね。続気が気になりました!今は無理でも貴方様の更新をずっとまちます! (2020年1月15日 0時) (レス) id: 5d51d334c7 (このIDを非表示/違反報告)
ハニートースト 通称,ハニトン!(プロフ) - 作者様の作品は全て読ませていただきましたが、完全に虜になりました。言葉選びが繊細で、儚くて、思わず世界に入り込んだ気分で読んでしまいます。こちらの小説なのですが、co shu nieというバンドのアマヤドリという曲がピッタリだったので、伝えてしまいました。 (2020年1月6日 19時) (レス) id: b6696be840 (このIDを非表示/違反報告)
聖羅(プロフ) - 初めまして。この小説を読んで泣きました。もちまる。さんの小説がとても大好きでずっと待ってました。これからもずっと応援してます! (2019年12月24日 23時) (レス) id: 07b14ef242 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ☆(プロフ) - 初めまして。君の脳になりたいの方を読んで此方にきました。私、本や映画を見ても絶対泣かないのに、この小説と君の脳になりたいの小説では泣きました。私は今不登校で、死にたいって思ってたけど、これを見てまだ頑張ろって思えました。何年でも待ってます。頑張れ! (2019年11月28日 14時) (レス) id: 65ed62dd2f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちまる。 | 作成日時:2019年8月12日 21時

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