6滴目 ページ9
き「あー、俺マジ腹減ったし先に頂いちゃおうかな!」
『っ、ちょ、っと…!』
反対の手首には絆が掴んで来てその手首にすぅと匂いを嗅ぐ。
黄色い目がギラギラと、にやりと笑ってこっちを見て牙をチラつかせる。
き「じゃあ、自分お先に…」
『…っ、やっ!』
嫌だ。噛まれる。
---ガシャン!
なにか割れる大きな音。
音のした方を見ると大きな鏡が粉々に割れていた。
側にはぽたぽたと腕から血を流している栄斗がじっと立っていた。
あ「…何してんだお前」
え「…わりぃ。居眠りしかけてて腕当たった」
平気平気。と彼は怪我をした腕で手を振って部屋を出て行った。
明らかに殴ったような割れ方だったのは気のせいだろうか。
あ「ちっ。お前ら破片掃除するから、えおえおの手当てして来てくれ」
き「…へぃへぇーい。わかりましたよ」
不服そうな顔で俯いで絆は出て行く。
その後にFBも去り際に耳打ちして来て…
F「…あんまり僕たちに逆らうと本当になにするかわからないからね?…特にあろま」
『…は、はぃ』
命拾いしたと安心してしまいそのまま床の上にぺたんと座る。
あ「…A様。破片があったら危ないのでそちらに座ってお休みになられてください」
そっと私の手を握り、反対の手で腰に手を回す。
そんなことされているにも関わらず抵抗する気力がなく力が入らない。
抱き寄せた後によいしょ、と言って持ち上げて立たされた後にベッドの上に座らされた。
とてもふかふかで今にも横になりたい気分にさせられる。
ぼーっとしている間に掃除機の音や誰かの喋り声が聞こえたが、ほぼ無気力に近かった私は知らないうちベッドの上で静かに眠っていた。
---
F「えおえお、さっきのわざとやったっしょ」
え「…初日からあんなことされたら逃げちゃうでしょ」
FBに手や腕に包帯巻いてもらいながら少し眉を上げてこっちを見た。
あいつ…Aが見たらきっと無表情に感じるかもしれないが、長年いたからわかる。彼の今の気持ちは楽しそうだ。
F「なんだかんだAちゃんのこと気にしてんだったら、顔隠さなくたって…」
え「…俺の顔見て近寄る人間はいっぱい見て来たからな」
F「うわ自慢かよ。ちきしょうが」
ぎぃぃっときつく包帯を締め上げられて痛い。
え「…この目の力のおかげでモテてんだろ。俺らは」
F「どーだろうねぇ…。最近俺もサングラスするようにしたから手を出さずに済んでいるけども…」
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作者名:もちぷよ | 作成日時:2023年1月1日 22時