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no side
ぼとぼとぼと。
嫌な音をさせながら血が流れ出る。
Aの足元は血が水溜まりのようになっている。
「へぇ……抉れるのが分かってて避けたんだなぁ。
頭が無くなれば楽になれたのに。痛くて苦しいだろ?」
『…………』
Aは下げていた顔をゆっくりと上げる。
「!」
Aは意地悪く笑っていた。
『痛い?苦しい?…………何だそれ』
「ッ……!!」
再び刀を構えるA。
手鬼も流石に焦った顔をする。
致命傷を与えた筈なのに
当の本人は涼しい顔をして立っているから。
『悪いね、私にそんな感覚は無いんだよ。
全集中─────木霊の呼吸【弐ノ型・雪根開き】』
素早く刀を動かしながら
Aは手鬼の方へと駆けて行く。
「ぎゃっ、」
Aが駆け抜けた手鬼の横腹付近に
ぽっかりと穴があく。
『…………おそろっちだね☆』←
「お前何なの??」←
ゴポッと口から血を吹き出しながら笑うA。
手鬼は引いた。
『冗談はこれ位にして…そろそろ終わらせようか?』
先程までの雰囲気とは全く違った。
周囲の温度さえ下がったように感じる。
『全集中……木霊の呼吸【壱ノ型・樹冠の遠慮】』
伸びる腕の
Aは大きく跳躍して鬼の頸に狙いを定めた。
「…………ッ………………兄ちゃん、」
『!!』
聞こえるか聞こえないか、そのくらいの呟き。
Aは無理やり体勢を変える。
『番号は無いがお師匠の技だ──────
木霊の呼吸【古の記憶】……!!』
身体を捻り空へ斬り上げるように刀を振れば
巻き起こされた風が木々を揺らす。
『ッ…………カハッ、』
身体を捻ったせいで血が吹き出る。
それでもAは再び刀を構えた。
「…………………………」
ピタリと静止した手鬼。
やがて手鬼の双眸からは涙が溢れでた。
「兄ちゃん………………、どこ…………?
どこにいるんだい…………………?ねぇ、…………」
膝から崩れ落ちた手鬼に
とどめを刺すためAを呼吸を整える。
「………兄ちゃん、行かないで…………」
『………!』
手鬼が空中に手を伸ばす。
その手に木々の隙間を通り抜けた朝日が触れる。
「ッ!……嗚呼、俺は何を、…………!!
お前……よくも、ッ………」
手鬼は踵を返した。
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沙羅(プロフ) - 邑さん» コメントありがとうございます!!長らくお付き合い頂いて本当に嬉しいです……!芽吹お師匠のところは私も書いてて泣きそうでした……今後は宇髄さん以外にも沢山の方が登場予定なので、ぜひよろしくお願いしますー!! (2020年2月2日 18時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
邑 - 前編から読ませて頂いています、凄くこの作品好きです!!師範のところ、もう、涙がぼろぼろでてきました...!! (2020年2月2日 17時) (レス) id: 451c1f62e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年1月26日 21時