明智のち天海 〜死神たちの短編集〜

幸せな食事2 ページ32

貴)なっなんで笑っているのです...!?

天)Aさんが私に不味いと言われるのではないかと緊張している姿を想像したらつい...クククッ...!

貴)なっなんですか、それ!確かに今、緊張してますけど...

天)ククッ、安心なさい。味付けが私好みでとても美味しいですよ。

貴)え...ほっ本当ですか!?良かった...

私は安心して懐からおにぎりを出すとそれに一口かじり付いた。

貴)今日はいつもよりおにぎりが美味しく感じます!

天)ククッ、それは良かったですね。





談笑しながら、食事をしているとあっという間に時間が過ぎていった。






天)襖を隔ててですが、こうやって誰かと談笑しながら食事をするのは良いものですね...
フフ...やはり1人は寂しいものだと実感しましたよ...

食事を終えた後、天海様は穏やかでどこか悲しさを含んだ声色でこう言った。

天)とても些細なことですが、この一時に幸せを感じました...Aさん、本当にありがとうございます...

天海様のこれらの言葉にぎゅっと胸を締め付けられ、なんとも言えない痛みに襲われた。



ありがとうなんて言わないで欲しい...

私は気づいていたはずなのに、今まで何もしなかったのだから...

もっと早くこうやって一緒に食事をしてあげられれば良かったのに...



天)Aさん、また一緒に食事をしましょう?



もう天海様に寂しい思いなんてさせない！



私は一呼吸置いてから精一杯声を張り上げて返事をした。

貴)はい...!天海様が良ければ!

すると、天海様はクスリと笑い、嬉しそうに楽しみにしていますよと言った。

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