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洋ちゃんと室内練習場に取り残されていた筈の
彼女が、何故ここに居るのだろうか。


驚き過ぎて、屍の様に動かない私を他所に
梨花さんは満面の笑みを向け
私の頬をツンツンと楽しそうに突いた。



『あー・・えっと、梨花・・さん?』


「なーに、Aちゃん?」




嬉しそうに返事をする彼女に
内心ツッコミを入れたい衝動に駆られる。



『その、ツンツンするの止めて貰えません?
あと、一緒にお茶する約束もしてませんから』


「えー!!」





大袈裟なリアクションを取る梨花さん。



彼女の反応に内心、面倒臭い感が芽生えたが
そこは敢えて目を向けなかったことにしよう。



「なんでなんで?私とお茶したく無いの?」


『そうじゃなくて、梨花さんと約束以前に
私は、貴子先輩と予定があるんです!!』



「へっ?」



私の言葉に、視線を貴子先輩へと
梨花さんは移した。



私達のやり取りに苦笑を浮かべ
見守っていた貴子先輩だったが

梨花さんと目があった瞬間
控えめに手を振り、久しぶりと声を掛けた。



「あっ、貴子じゃん!」


「相変わらずだね、梨花。
元気にやってる様で安心したわ。
それより、高島先生には挨拶した?」


「ううん、まだ。
明日にでも会いに行こうかと思って!」




私を抜きにして話し始める二人。



他人とは思えない程、親しげに会話をする
先輩達に私は再度、驚きを感じていた。




貴子先輩って、梨花さんのこと知ってるんだ。



名前も呼び捨てな事から、きっと友達に違いない。



梨花さんって・・何者なんだろう。





益々、彼女の存在が闇の中へと沈んで行く中
不意に声を掛けられた。





「A、ぼーっとしてるけど大丈夫?」




『えっ、あっ!大丈夫です!
それで貴子先輩、今日の予定なんですけど』



「それなんだけど、梨花と約束してるなら
また今度にしましょう。じゃ、お疲れ様。」



『えっ!?ちょっ、貴子せん』



「ほらっ、Aちゃん行くよ!
ごめんね貴子。また明日ね!!」




私の悲痛な叫びは虚しく、貴子先輩まで届かず
強引に梨花さんの手によって

その場から離れることとなった。

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設定タグ:ダイヤのA , 御幸一也 , 倉持洋一   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:yun* | 作成日時:2016年8月6日 21時

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