逃げても逃げても何度でも

【Second facts】 ページ31

「…と…宮…」


「！」


「本宮、ボーッとするな！銀行へ向かった捜査官から追って連絡がくる。使用されたキャッシュカードの番号のマークと別所で使用があれば逐一報告！」


「りょ、了解！」


気がついたら職場だった。

マークしていた東京卍會役員の一人が動くとの情報提供があり、私達も捜査官のアシストの真っ只中。


これって…もしかしなくても花垣くんが帰ってきた？


また別の2017年。


私は、また同じ経歴で警視庁に勤務していた。


未来が変わっても、この経歴が変わらない限り、二人から逃げ続けていることになる。


以前、直人くんに気づかされた事実は、今回の現代でも変わっていない。


私は、やっぱり今回もまだあの二人から逃げている




ただ、二度未来が変わり、この現代に来て新たに気づいた事がある。


現代で、花垣くんに初めて会ってからこっち二度とも経歴が変わっていないということは、恐らく二人から逃げているという事実は、もうどうやっても変えられないのではないかということだ。


可能性の未来が地下鉄の路線図のように何本にも分岐しているとしても、分岐の開始点、つまり地方の中学に転校して名前を変えた時点から未来が分岐するだけで、逃げている事実自体は何度未来が変わっても動かない事象なのではないかと思う。


そうすると一番に取るべき対策は、見つからないように注意を払うこと。


「とはいえ…なんだよね」


「本宮！」


「は、はい！すみません！」


上司にギロリと睨まれて背筋が伸びる。



まずは、この大捕物をどうにかしてから考えよう…



指揮する上司の圧に耐えながら、私は、手元のコンピューターに目を向けた。

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