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Aside


『失礼しました』


深く一礼し、学園長先生の庵を出て足早に歩く。

そのまま庵が完全に見えない位置まで来たところで私は立ち止まり、大きく息をついた。


『……はぁぁあ。なんか、すんなり終わった……』


_学園長先生の庵に朝から呼び出され、私が受けていたのは昨日の事情聴取。


何を聞かれるかと身構えていた私は、いつもよりも高く総髪を結い大勢に問い詰められる覚悟を決めて、まるで戦場に行くつもりで庵へ向かった。


……向かった、のだが。



"おお、まあ座りなさい"

"……はい?"


しかし蓋を開けてみればそんなことは全く無く、中にいたのは学園長先生と山本さんに土井先生という方、合計三人という少人数。

そして事情を説明すれば、問い詰められるどころお礼を言われ怪我の心配までされて、今だって茶菓子まで持たされている。


事情聴取は結局、騒ぎになるような危ない行動は控えるようにとだけで、それ以外はお咎め無しだった。



『なんか、逆に不安というか』


頂いたお饅頭を口に入れて、私は小さく呟く。


……甘い。


お饅頭がではなくて、学園の対応が甘すぎる気がするのだ。


私はここでは仮にも天女、警戒対象でもあるはず。

それにいくら身を張って左門くんを守ったとしても、先生方は実際にそれを見たわけじゃない。



『もしかして、罠……いや、やっぱり妖術が発動したとか?』


天女の妖術については、人を強く惹きつけるというか、惚れさせる能力だと私は捉えている。

けれど、今のところ生徒達が寄ってくる事もないし、先生方だけに効くっていうのは考え難い。


『あーもう、やめやめ!』


私は大きく息をついて、座っていた岩から勢いよく立ち上がる。

分からないことを考えても、時間の無駄……これ以上深く考えるのはやめる事にした。


とりあえず部屋に戻ろう、そう歩き出したその時、ひっそりと佇む小屋が目に入る。


『……そういえば、あそこって何に使うんだろう』


普通に風景に馴染んでいたから今まで気にしたことはなかったけど、備品倉庫か何かだろうか。

好奇心に負けて近づき扉に触れてみれば、鍵はついていなかった。


『管理されてないのかな……よいしょっと』


右肩は使えないので左手に力を入れると、扉がガラガラと音を立てて勢いよく開く。

中の様子を見ようと顔を上げた私は、思わずあっと声を上げた。


『あっ、え!?』

「……!」


_目の前に、人がいたから。

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(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (4月16日 22時) (レス) id: f020fc6e38 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて本当に嬉しいです。また頑張りますね! (8月28日 20時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新をずっとお待ちしていた作品なので本当に本当に嬉しいです…!!これからも、陰ながら応援させていただきたいです! (8月26日 8時) (レス) id: 17751e89f9 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 麗羅さん» お久しぶりです、コメントありがとうございます!そうなんです……。あっちはいろいろ慣れなさすぎて、一時帰国ではなく日本にずっといたい位です笑更新頑張りますね! (8月24日 1時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 更新ありがとうございます!海外留学中だったのですね……。すごいです!これからも応援しているので、作者様のペースで更新頑張ってください! (8月21日 22時) (レス) @page26 id: 5152279fe6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海鈴 | 作成日時:2022年8月13日 22時

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