女にはナチュラルだのなんだの言うくせに男はナチュラルになれないもの ページ3
依頼人が勤めているネイルサロンは、かぶき町でも一、二を争う大きな店舗だった。キャバ嬢やホステスはもちろん、年頃の女の子が足繁く通っているようで、待ちの客が途絶える様子は無い。
また、ちらほらと男性もいる。どれも見目麗しく、おそらくはホストだろう。いくら顔がよくても、指先に気を使えない男は意識が低いと見なされてしまう。実際、ホストクラブには爪や肌のメンテナンスをルールと課している店も多い。
「へぇ、甘皮のケアにヤスリがけ……ハンドケアなんてのもあるんですね。すごいや」
「こんなん家でもできんだろ。わざわざ金かけてまでやることかね」
「プロがやるのと素人がやるのとじゃ、全然違いますよ。銀さんだって爪ギザギザじゃないですか」
「んなもん切れてりゃいいんだよ。切れてりゃ」
「銀ちゃん、たまに頭掴むとき爪刺さって痛いアル」
「我慢しろー。子どもは我慢を覚えて大人になるもんだ」
「我慢覚えるならいい加減ギャンブルやめろヨ、このマダオが」
店先の看板に書かれたメニュー表を見ながら感心する新八、かったるそうに耳をほじる銀時、番傘を差してジト目で保護者を見る神楽。どう見ても浮いている3人だが、かぶき町では珍しくない。
と、そこへひとつの影が加わる。サロンの客は、そちらに黄色い歓声を上げる。
「おや、坂田さんじゃありませんか」
「あ? おたくは……」
「狂死郎さん!! 八郎さんも」
ホストクラブ『高天原』のオーナー、本城狂死郎。その美貌は女性に夢を見せ、ときに狂わせるほどの魔力を持つ。傍らにはアフロのホスト、補佐である八郎もいる。昼間っからキラキラが隠せていない。
狂死郎さんよ、という囁きににこり、と笑みを返す。きゃあっと真っ黄色な悲鳴が辺りに響く。
「御三方、こちらにご用がおありで?」
「違ぇよ。ここの従業員の依頼で来てんだよ」
「お二人は、ここのサロンに?」
「ええ。ホストは細部まで見られていますから、メンテナンスは欠かせません。特にここはいい仕事をするので、常連として来させていただいているんですよ。
ホストたるもの、顔だけでなく隅々まで美しくなくては」
髪を耳にかける指先は、確かに整っている。ギザギザなどしておらず、 切り残しもない。何やら塗っているのか艶もある。コーティングされた爪の光沢は、シャンデリアの下でアクセサリーのごとく輝くだろう。
では、予約が入っているのでと店内に入る背を見送り、ガシガシと頭を搔く銀時であった。
名前がめちゃくちゃ長いとき、書類の記入するコマが足りなくてどうしようって困る人は一定数いる→←ダメ男は最初からマイナスだからプラスにしか点数が動かない
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ワッフル魔神(プロフ) - 更新待ってました!これからも応援しています!更新頑張ってください‼️ (4月2日 20時) (レス) id: 144fda3ce7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2024年3月27日 8時