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猫と雨と情緒と ページ13

「オ客デスカ」

「なに、濡れ鼠になってたのを拾っただけさね。雨が止むまでだよ」

「ども、」

「フーン、イケメンダカラッテコノ私ヲ口説コウトカ思ウナヨ」

「や、そんな」

「ちょっかいかけてんじゃないよ。銀時の知己だとさ」

「アノ腐レ天パノ知リ合イナラロクデモナイ男ダナ。ハーガッカリ」


やれやれ、みたいな態度のキャサリンの顔面に酒瓶が直撃した。言わずもがなお登勢の手腕である。

速い。自分でないなら見逃していた。


「口が悪い従業員でね。気を悪くしたらごめんよ」

「いえ……

あの、天人の方ですか?」

「そうだよ。地球に住んでる人間の頭にゃあんなもん生えちゃいないからねぇ」

「ああ、やっぱり……」


ぴこぴこ、と動くそれはやはり飾りではないようだ。どう見ても神経が通っている。

あまり見るのもな、とカウンターに向き直った。湯呑みはすっかり温い。

全ク気ガ短インダヨクソババー血管切レルノモ時間ノ問題ダナとぶつぶつキャサリンの愚痴が通り過ぎたが、後頭部に2本目が直撃してぶっ倒れた。さすが、耳聡い。



ざあざあ、ごうごう

ぴちょん、ばしゃっ

がんがんがん、ばんばんばんばん


雨の五重奏が木霊する。静かな店内では、天からのBGMとキャサリンの呻き声だけが流れている。

こんな日も悪くないな、と思う。何も晴れだけがいい天気ではない。雨の恵みもときに必要だ。人間がそれを面倒だなんだと自己都合にしているだけで。

目を閉じて、聴覚だけに意識を向ける。暗闇の視界では、外の様子がはっきりと見える。想像が生業の清水であれば、脳裏に風景を生み出すなど造作もないこと。


雨足が強くなり、傘が咲き乱れるかぶき町。跳ねた水溜まりで遊ぶ子どもと、早く家に入りなさいと怒る親。排水溝に吸い込まれる飛沫の集合体。暖簾をしまう団子屋。洗濯物を入れる主婦、傘を忘れた人との乗り合い傘。


ガンガンガンガン!!!!

バンバンバンバンバンバン!!!!


軋む皮膚、幼馴染の潰れた天パ、湿気でうねるとぼやく長髪の毛先、なぜか外に出たがるもう一人の天パ、刀が錆びると手入れを始める両の目が開いた彼。


バンバン!!!! バンバンバン!!!!

ガタガタガタッ、ドンドンドンドンドン!!!!!!


……いやにうるさい。

というか、さっきから戸を叩く音しか聞こえない。明らかに人為的なもので、シカトしようにも音を通して切羽詰まった様子である。

磨りガラス越しのシルエットは男性のものだった。


「るっさいね、あのマダオは」

マダオはどこまで堕ちようと結局はマダオ→←かぶき町の女は半分妖怪なのかもしれない



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スミカ - 物凄く面白いです。高杉との絡みが最高に好きです!決して行き過ぎたチートじゃないとこも好きです。応援してます (4月13日 17時) (レス) @page19 id: daf320e252 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pillow | 作者ホームページ:   
作成日時:2024年2月17日 21時

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