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できること ページ49

【アラン視点】

「結構です。今は一人にさせてください」

そう吐き捨てたあいつは、鈍い左足を持ち上げ、走っていった。
きっと凄まじい痛みに耐えていることだろう。それでも走るということは、よほど俺と距離を置きたがっているということ。

――どうするんだ、お前は

Aが本心から望んでいることなら、俺はそれを否定しない。
だけど今のは違う。

――今のあいつには傍にいてやる人が必要だ
  たとえあいつ自身が否定していても

あいつの背中から発せられたSOS。確かに俺はそれを感じた。
『助けて』、と。

足はすでに行動を開始していた。Aには追いつけないが、少しでも早くあいつのもとに行くために。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

部屋の扉をそっと開け、部屋には入らず、様子を確認する。

あいつは二段ベッドの下でうずくまっていた。

左足を抱えて、虚ろな瞳をそれに向けていた。

「どうしてこうなったのかな……。罰が当たったのかな……。
すべてが巧くいくわけがない……。私には才能がない……」

ネガティブなことをぽつぽつと吐き出すA。
その瞳には一切の感情がなかった。

「頑張って……頑張ったのに……大丈夫だって思ってたのに……。
まだ努力が足りなかったのかな……」

壁に頭を委ね、徐々に目が潤んできている。

「私……やり直したい……。
3日前に戻ってこんな運命変えたい……。
もう一度、ちゃんとパフォーマンスしたい……っ!」

Aの瞳から雨が降り始めた。

俺はその様子が見てられなくて、そっと扉を閉めた。



扉に後頭部をつけ、ため息をつく。

扉越しに聞こえてくるAの泣き声。こんな派手な泣き声を聞くのは初めて会った日以来だ。
あのときはシズカを亡くした悲しみに耐えられなかったからで、今回は自分自身を責めて、か。

シズカを亡くした悲しみは俺が解決してやったと言っても過言ではないだろう。

なら、今回も俺にできることをやるべきだ。

「ふぅ……」と長い息をつき、ホロキャスターを取り出す。

連絡する相手は、あいつだ。

カーソルが『エデル』の位置を示したときに通話ボタンを押す。

『……もしもし? ああ、アランですか。
……Aさんの件ですか?』

「ああ。少し頼みがあってな」


エデルに俺の考えを話す。案の定、彼は驚いた。

「無理そうか?」

『いえ……できますけれど……。あなたの負担が……。
いいんですか?』

「ああ。
これは、あいつのために今、俺がしてやれることだから」

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設定タグ:ポケモンXY , アラン , バトントワリング   
作品ジャンル:アニメ
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頂志桜(サム)(プロフ) - 夢代ツバキさん» ありがとうございます!続編にまたぐ感じで、アランの計画が露見していきます!お楽しみに! (2016年10月16日 12時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
夢代ツバキ - 頂志桜(サム)さん» アラン、何する気なのかな?まさか、ピアノだったり・・・?ドキドキが止まんないです。頑張ってください (2016年10月16日 11時) (レス) id: 39392b36ad (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - ユーさん» ありがとうございます!優しいというか、過保護というか……。そんなところを気に入ってもらえると嬉しいです! (2016年10月14日 15時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
ユー - アラン、優しい!続き、楽しみです! (2016年10月14日 15時) (レス) id: fa9502f7ab (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 夢代ツバキさん» ありがとうございます! 寝てる最中にそんなことされてるとは、本人は知らないんですよね〜。本当はちゃんとそこらへんも掘り下げたかったんですけれど、何しろ話数がきついので……。 (2016年10月13日 21時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年9月30日 18時

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