松下村塾の悪ガキさん 弐 【銀魂】

-六頁目- 白髪？いや銀髪です ページ6

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「 おっ…と、 」



松陽が銀時にゲンコツをしたため、瓦礫が飛んできた。後ろの二人に当たると危ないと思い、着物を少しずらし白い足をあらわにしたあと大きく足を振り上げ瓦礫を二つに割った。

勢いを失った瓦礫はそのまま地面に落ちた。




「 い、今…蹴って…… 」




少年二人は冷や汗をかき、目を大きく開いているところからとても驚いているのだと分かった。
Aはあ、と思い一瞬動きが止まったが、わざと気づいていないふりをした。

松陽の(かなり加減された)ゲンコツを受けた少年集団を越え埋められている銀時を掘り出す。どうやら失神しているようだった。




「 喧嘩両成敗です。……君達も早く彼等を連れて学校へお帰んなさい。…小さなお侍さん 」

「 「 ……… 」 」



「 あ、先生。銀ちゃんは私が引き摺りますよ 」


「 いえ、今回Aは迷わず銀時を探し出せたので私が引き摺りましょう 」


「 あっ、そっそうなんですよ！迷わんかったんです！私、偉いですか？ 」


「 ええ、偉いです 」



そう言って松陽はAの頭にポンッと大きな手を乗せた。気持ち良くて、温かくて、Aは目を細めた。最初の頃じゃ照れくさかったものの、段々と慣れ、今では人前でも気にしない。

むしろ褒めてもらおうと頑張ってた。



「 さて、行きますよA。帰ったら授業です 」

「 ……それって私もですか？ 」

「 ええ。連帯責任です 」




そんなぁ〜と肩を落としたが、まぁ銀ちゃんと一緒ならいっか、と松陽と帰路についた。








❁❁❁



「 そうか…あれが噂にきいた、 」



黒い髪を一つに縛った神童がまだ驚きをかくせていない状態で自身の耳で聞いたことを口にした。



「 近頃、白髪と黒髪の子供を連れた侍が私塾をひらき、金もとらずに貧しい子供達に手習いを教えているときいたが、あれが、松下村塾の
───吉田松陽 」




しかし……とまだ言葉を続ける。




「 なんだったのだろうな。あの二人の子供は…… 」


「 さァな 」




神童の隣に立つ紫髪の少年は、先程の光景を思い出す。

上から落ちてきた鼻くそほじってた白髪の少年。飛んできた瓦礫を足で割った少女。ゲンコツ一発でK.O.させた吉田松陽という男。




「 ( アイツらは…… ) 」


「 “高杉”？どうしたんだ？ 」




高杉と呼ばれた少年はもう見えないあの侍が去っていった方向をただじっと見ていた。




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