屋上 ページ8
あのあと、少し風に当たりたくなって、屋上に出た。
とんびが鳴いてる。
うん、あれは確実に失敗だ…
あんな自己紹介さえしなければ、絶対モテてただろうな…
そもそもバナナ系男子ってなんだよ…需要が何一つ分かんねえよ。
「__だー!!時間戻れクソォオォォ!!」
思いきって叫んでみるも、トンビが再び鳴くだけだった。今の私には、トンビすらも「なにこのゴリラw」と私を貶しめているんじゃないかと錯覚するほどだ。
ええい!クヨクヨするな、馬鹿!
まだこれからだろ!最初、ただのゴリラかと思いきや、実はイケメンだっていうギャップがこのあと明らかになるぜ。………多分。
ああ、そういや……桃井ちゃんってギャップのある異性がタイプなんだっけ…うん、可能性はあるぞ。
がんばれA、負けるなA。
「はぁー……」
大きい溜め息をつく。
そして、ふと考える。
「そういや、私がバナナを嫌いになった理由ってなんだっけ…」
そう、それには、深いワケがあるのだ。
__
______
それは、小学六年生の頃だった。
修学旅行の時、遊園地に行く途中のバスで、皆は買ってきたおやつを食べていた。
規定は180円まで。駄菓子を複数買ってくる奴がいたり、高い物を一つだけ買ってくる奴もいたり、それぞれだった。
そんな中、私だけはバナナを買ってきた。お金の規定なんかとっくにオーバーしてたし、そもそもおやつじゃなかった。
最後の修学旅行ということで、怒られたが没収はされず、食べてもいいということになった。
私は喜んで、バナナをばくばく食べた。
その結果どうなったと思う?
『おrrrrrrr』
『うわー!春野が吐いたー!』
『せんせー!春野さんが吐きましたー!』
吐いた。
元から酔いやすかったし。
あとから思えば、なんでバナナなんか持ってきたのか謎だ。
______
__
つーことで、私がバナナと関わるとロクなことがない。
今回は確実に失敗だ。
でも仕方がないと思う。
なんせ、どれだけバナナを忌避したところで、勝手に手が動いて鞄の中に入れてしまうのだ。
もういっそ受け入れれば良いと思う人もいるだろうが、そう簡単には受け入れられない。
騒動後、ついたあだ名が『リバースバナナ』だからだ。
あれ以来、怖くて奴等とは顔を合わせていない。勿論、中学も奴等と会わないような所を選んだ。この高校だってそうだ。
ここでもあだ名がつけられようとなれば、私はもう終わりだ。
再び大きく溜め息をついた。
すると______
ガチャン
屋上の扉が、開いた。
そこには______
33人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しゅん - 面白いです! (2018年6月7日 18時) (レス) id: 32b41a532f (このIDを非表示/違反報告)
未来紡 - コメントありがとうございます!自分では超スローペースだと思っていたので、とても嬉しいです!頑張ります! (2018年3月18日 10時) (レス) id: 8800973e38 (このIDを非表示/違反報告)
ぱやぱや(プロフ) - 流れがサクサク進んでいいですね。更新楽しみにしております(●´ω`●)頑張ってください! (2018年3月18日 9時) (レス) id: 918f2226ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:未来紡 | 作成日時:2018年3月11日 17時