照らすために息をしている

8．言うことよりも飲み込むことの多い一日 ページ8

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Aちゃん、今日バイト?ごはん行かへん?



猫いた!めっちゃ可愛かった!Aちゃん、猫好き?今度猫カフェ行こう



今日天気よくてめっちゃ気持ちいいね、こんな日は散歩いくしかないな!






純喜くんはよく遊びに誘ってくれるけど、断ることのほうがいまのところ多い。

別に友達だし、気にすることないじゃんって景瑚は言うけど、
まだちょっとそんな気持ちになれない。

まあ瑠姫だって専門の子達と楽しそうにしてるもんな。






景瑚が自主休講したこの前の火曜日、二人でご飯を食べた。
純喜くんは食べるのが早い。

先に食べ終えたあと頬杖をついて、
Aちゃんってご飯食べてるときほんま幸せそうやなってにこにことしていた。

そんな顔をするのはやめてほしい。
そんな目を向けられたらどうしたらいいかわからなくなる。







▽


喫茶店ってやっぱり夜は暇だな。
誰もいない店内。テーブルでも磨くか。



純喜くんはわたしのバイト先に一人でよく来ているらしい。

店長からこの前も来てたよと教えてもらった。


よっぽど好きなんだろうねと話す店長の声は聞こえないふりをした。






インスタを見ると瑠姫のストーリーが上がっていた。


またこの子といる。よくストーリーに出てくる同じ美容学校の金髪のインナーカラーにキュッと跳ね上がったアイラインが印象的な派手なメイクの女の子。



タグ付けされたユーザー名をタップしてプロフィールを開く。鍵のついてないアカウント。




投稿の色んな所に瑠姫がいた。

忙しいって言ってたのにBBQなんてしてたんだ。楽しそうだな。





ストーリーを見ると奢ってくれたとハートの絵文字。見覚えのある服。


顔を隠して映り込んでいるのは確かに瑠姫だった。






思わず溜息をつくと、疲れてるねと店長がミルクティーを出してくれた。


温かさが身に染みる。最近のわたしたちは惰性という言葉がぴったりだ。


色んなものを見て見ぬふりをしている。
核心を突かないように、間を埋めるために抱き合う。

物理的な距離感のつめ方がより寂しい。

もうだめなのかな。なんか最近ずっと息がしにくい。






もう一度溜息をつくと、たくさん悩め、若者よと他人事のように楽しそうに言った。

他人事なんだけどさ。
 







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