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「 くっ、んん...。 」
大きく口を開きかけて、慌てて欠伸を噛み殺した。
目尻にじわりと涙が溜まって急いで拭う。
明確になった視界には先程とは違った風景。
バスならではの不思議な雰囲気と共に揺られながら私は 夢ノ咲学院に向かっている。
制服のスカートの上、手を結んで 開いて。
... 落ち着かない私はスクールバッグから資料を取り出す。
向こうで夢ノ咲の姉妹校に通っていた私の留年措置は免除。
無事2年生に進級できたようだ。
それから、私は新設されたプロデュース学科のテスト2号になるらしい。
元普通科の私だし、先にいる1号さんに頭が上がらないという話を持ちかけてみたが、「 2ヶ月前に来て、実力はほぼ一緒だから問題ない 」と切り捨てられてしまった。
楽しみなようで、気が滅入る。
「 次は___夢ノ咲学院前 、夢ノ咲学院前。 」
私は傍にあるボタンを押す。
__ 英智先輩は元気かな。
__ 夢ノ咲は大丈夫かな、
__ たのしみだなあ。
バスを降りて校門に向かって。
頂いていた学生証を門番さんに見せる。
物凄い圧を掛けられながら全身検査をされて、なんなら職員室にまで連絡された。
運良く椚先生が対応してくれたようで すんなり入れたのだが。
そうしてようやく門番さんも笑顔になり、私を通してくれた。
... 此処までで結構疲れたというのが本心だが、背に腹は変えられない。
楽しみな心には勝てないのだ。
上機嫌で浮き足立ちながら職員室を目指す。...というか、探す。
今は何時間目くらいだろうか、4時間目の終わりくらいか。
身体の事も配慮して佐賀美先生がこの時間帯を指定してくれた。
キーンコーンカーンコーン ...
「 ん”っ?! 」
終業のベルと同時に可愛らしい高い声が聞こえる。
ゆっくりと後ろを振り向けば、桃色の髪が特徴的な男の子と赤い髪が目に鮮やかな男の子。
ネクタイの色からして一年生だろうか。
「 ふ、不審者!? 」
「 本当に馬鹿ですか桃李くんは!この女性が佐賀美先生の仰っていた、 」
「 ああ、こいつが瑠璃川A!?ふぅん、普通に可愛い...。じゃなくて、ボクの奴 隷にしてあげる!可愛いから、奴 隷4号ねっ?いい? 」
「 ちょっ、ladyにその口の利き方は失礼ですよ!?しかも年上の______。 」
目の前で始まる喧嘩とも言える 言い合いに私は目を丸くすることしかできなかった。
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MinT(プロフ) - さくやーさん» わわ、閲覧ありがとうございます (^-^) そう言っていただけて何よりです!!! (2017年5月30日 9時) (レス) id: 2b0d780a77 (このIDを非表示/違反報告)
さくやー - 読ませていただきました!!とても面白かったです!英智様最高です! (2017年5月30日 1時) (レス) id: 5ce56128e2 (このIDを非表示/違反報告)
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