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サイドストーリー 3ー8 ページ16

月永先輩と別れ、夏目くんに肩を押されたまま、無言でやってきた庭園。花壇近くまで来ると、夏目くんぐっと腕を引かれる。くるりと体が反転し、そのまま抱きしめられた。

「…!」

驚いて思わず肩を跳ねさせてしまうも、彼は腕を緩めたりはしなかった。むしろさらにぎゅっと力を込められる。

「ごめんネ…」

私の肩に顔を埋めている彼の顔は見えないが、その声はとても悲し気に聞こえた。

「センパイと話してるところだったのに、邪魔してごめン。…ボクはキミを困らせてばかりなのニ…月永センパイは、キミの心にすぐに寄り添えル…。二人が話してる様子が、すごくお似合いに見えテ…。キミがセンパイに取られてしまったみたいで、耐えられなかっタ…」

それに…と、夏目くんは少し言葉を止めた後、言いにくそうに続けた。

「それニ…キミがセンパイに引き寄せられた時…まるで二人がキスをしてるみたいでネ…。それで思わず邪魔しちゃったんダ…」

「キ…ス…?」

自分で口にして、一気に顔が赤くなるのを感じた。

「ち…ちがっ…そんなんじゃ…」

思わぬ言葉に、慌てて体を離して首を振る。その時に初めて確認できた彼の表情は、困ったような、不安そうな…それでも、優しさをもって話そうとしてくれている顔だった。胸がぎゅっとしめつけられる。

「分かってるヨ。耳元で囁かれてただけってネ。センパイがボクを挑発しただけだってことモ。…だから、ごめン…ボクは勝手に…嫉妬、したんダ…。……こんなのカッコ悪いネ。」

夏目くんは、私の頰にそっと手を添えて、ふわりと微笑んだ。今にも泣きそうな顔を見えて、それが申し訳なくて、私はまた首を振った。

「かっこ悪くなんかないよ…。私も…嫉妬してた…。」

私の言葉に、今度は夏目くんが首を傾げた。

「夏目くんと電話してる相手に…嫉妬したの。なんで私には教えてくれないの…楽しそうだなって。勝手に嫉妬して、教えろなんて言って困らせた…」

ごめんなさい。そう口にすると、夏目くんは小さく微笑んでそっと頭を撫でてくれた。

「お互いにヤキモチ焼いちゃったんだネ。でも、よく分かったヨ。大事な子が自分の知らないところで、他の誰かと仲良くしていることっテ…結構気になるものだネ…。」

改めて視線を合わせると、彼は真剣な表情で話した。

「キミを傷つけたいわけじゃなイ。だから、約束するヨ。明日の放課後、全部教えてあげル。信じテ…決して誤魔化したりなんかしないかラ。」

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minrisyan(プロフ) - 星乃刹那さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます!ゆっくり更新ですが、皆さんに夏目くんの魅力が少しでも伝わるように頑張ります!! (2020年3月5日 23時) (レス) id: 8bdb17c1dd (このIDを非表示/違反報告)
星乃刹那(プロフ) - うわぁ、すごい好きです!続き楽しみにしてます! (2020年2月20日 14時) (レス) id: 7c149933cf (このIDを非表示/違反報告)
minrisyan(プロフ) - 一期Loveさん» コメントありがとうございます!私の理想の夏目くんをひたすら書かせて頂いているのですが、気に入って頂けたのなら嬉しいです!今後もまだまだ更新をしていきますので、どうぞよろしくお願いします! (2019年9月5日 20時) (レス) id: 84aad287f8 (このIDを非表示/違反報告)
一期Love(プロフ) - 凄く面白いです!本編の方もすぐに読み切っちゃいました。読み返しては夏目くんいいなーと思わせて頂いています!更新頑張って下さい!楽しみにしてます! (2019年9月5日 3時) (レス) id: 2345a9075e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:minrisyan | 作成日時:2019年9月1日 20時

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