人獣の5噛み ページ6
「んじゃ、そこに座ってくれ」
『わかった』
縁側を通り、広間に入った少女ら
少女を中心に、新選組の幹部で囲むように座った
「君、名はなんと言うのかね?」
柔らかい笑みを浮かべた男の人が問う
『……何故そんな事を聞く?』
少女はまた怪訝そうに顔を歪めた
少女がそう言った途端
「君さ、よくそんな口聞けたね」
その言葉と共に首に刀が当てられた
しかし、少女は取り乱すどころか脈すら変わっていない
「へぇ、慌てないんだ」
『……死ぬことは怖くないから』
少女は至極普通だと言う風に言ってのけた
「まぁまぁ総司、落ち着かないか」
「……近藤さんが言うなら」
刀の主は納得いかない声色だったが刀を納めた
『……A』
「?」
『私の名前……貴方はきっと優しい人だから、教えて上げる』
少女は目線を逸らし、どこかてれくさそうに見えた
「コホン……てめえは昨日何か見たか?」
『……?殺したことを咎めるんじゃないんだ……質問の意味が分からない』
「……あんたはあの血に狂った化け物を見たかと聞いている」
『あぁ、見た……襲ってきたから殺した』
少女は声色を全く変えることなく、質問に答える
「……見たか」
『でも、何故その事を問うのか分からない……まぁ知られてはいけないものだろう、言っておくが別に私は言うつもりはない』
「信用できると思うか?」
『思わない、でも私にはこの事を話す利益がない……というか殺せばいい、手っ取り早い』
少女は左右非対称の瞳を向ける
色は違うはずなのに、どちらも黒く淀んでいた
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作者名:月明かりと紅色 | 作成日時:2018年10月17日 23時