嗚呼、やっと ページ27
俺が導かれるよう辿り着いたのは藤の森の奥にある寂れた教会、俺は頬を撫でる汗を拭い扉を開く
ステンドグラスの光に照らされ十字架を見上げるその背中に声をかける
「黒条、少女？」
「黒条少女……病院に戻ろう、母君が心配している」
何も言わなかったAさんはこちらを見ると"あの時"のようにふわりと微笑んだ、その琥珀色の瞳には慈愛の色が浮かんでるような___
『待ってたわ……杏寿郎』
杏寿郎……自身の名が美しい音で紡がれる、俺の思考は一気に琥珀色に塗りあげられた
嗚呼、目の前に居るこの人は
『また会えて、本当によかった』
「A、さん」
Aさんは珍しく無邪気に笑った、しかしその顔は歪んでしまっている
俺の涙が溢れ落ちる前、Aさんのその言葉に体が硬直した
『杏寿郎、言いたいことがあるの』
"あの時"と何ら代わりの無い台詞に体が強ばるのを感じる、Aさんはいつもと変わらず微笑みながら俺を見ている
俺はその視線から逃げるよう顔をうつむかせた
「Aさん……その台詞は、悪趣味ですよ……？」
情けなくも声が震える、握り締めた拳がふるふると震える
『聞いて杏寿郎……私のお願い』
またしても"あの時"と同じ台詞、思わず顔を歪めAさんを睨むように見た
「止めてください！！」
そう悲痛に叫ぶとAさんは困ったような悲しそうな、そんな顔で微笑みこちらにゆっくりと足を進め……
『杏寿郎』
俺の目の前で止まり、その細い手を俺の両頬に伸ばし
『
額を合わせた、Aさんの言葉に俺の目からは止まっていたはずの涙がボロボロと止めどなく溢れた
__俺が本当に言って欲しかった言葉は__
『ありがとうっ!』
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Frozenheart_99(プロフ) - 月明かりと紅色さん» 愛念のある作品の作者さんのお力になれたのなら、感慨深いです！これからも応援しています！ (2019年8月15日 3時) (
レス) id: b1cd95b247 (このIDを非表示/違反報告)
月明かりと紅色(プロフ) - Frozenheart_99さん» コメントありがとうございます！勉強になりました！本場の方にアドバイス頂けるのは大変嬉しいです、これからも関西弁で可笑しな所があってもなくてもコメントしてくださると作者の励みになります！ (2019年8月14日 0時) (レス) id: ce1b07ed69 (このIDを非表示/違反報告)
Frozenheart_99(プロフ) - 何時も愛読させて頂いてます！私関西の人間なんですけどしばくって言うのは殴る蹴るなどの暴行よりは「あんた〜ええ加減にしなしばくで〜笑笑」って感じですかね！殴ったり〜で大丈夫だと思います！口出しすいません！関西弁をわざわざ使って頂けるのが嬉しくてつい… (2019年8月14日 0時) (レス) id: b1cd95b247 (このIDを非表示/違反報告)
月明かりと紅色(プロフ) - 紅さん» コメントありがとうございます！そうですよね、私もそんな煉獄さんのギャップに悶えた人です！これからも不器用ながらに頑張りますので、ぜひ彼女彼らの未来まで見てくださるととっても嬉しいです！ (2019年7月23日 22時) (レス) id: ce1b07ed69 (このIDを非表示/違反報告)
紅(プロフ) - 煉獄さん凄く格好良くって、でも時々天然で可愛い所もあって凄く良いですよね！！続き楽しみにしていますね！！ (2019年7月23日 18時) (レス) id: 5c635e6563 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月明かりと紅色 | 作成日時：2019年7月2日 21時
