No.28 ページ35
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「こんな短時間でよくそこまで観察できたもんだ。
もっと自分に自信を持っていいんだぞ、A。」
Aに向かってニコリと微笑み、頭を撫でる兄。
その表情は兄弟に向けた屈託のないものと酷似していた。
その瞬間、僕の顔が歪んだ。
(うわー、それ今やっちゃうわけ?)という内心と共に。
僕が知る限り、その無意識キラーで兄はいくつもの女を落としてきた。
その数は僕とは比にならない程だ。
本人に尋ねても「意識してるわけではないんだがな…」と返されてしまい頭を抱えたのがつい先日。
天然がここまで恐ろしいものだとは知らなかった。
カラ松兄さんの場合はそれが無自覚なのだから更に恐い。
きっと今もその無自覚とやらでやっているのだろう。
末恐ろしい兄だ。
Aに視線をやると、彼女の頬はうっすら赤く染まっていた。
節目がちにチラチラと兄を見上げる彼女は恋する乙女を連想させた。
(ああ、結局そういうこと)
きっとAは兄に恋をしているのであろう
それも今ではなく、その前から。
僕が今まで見てきた女たちはどれも、顔を真っ赤にしながら恍惚とした表情をしていた。
だから彼女が兄に惚れたのは今ではないと思わざるをえなかった。
兄さんと彼女が出す雰囲気は初々しいカップルを連想させられて
兄に人生初の恋人ができるのもそう遠くない未来かもしれないと。
そう予感した
(なんかばかばかしくなってきたな)
今の彼女の姿はさっきとは打って変わり、恐怖など無縁のように見えた。
結局彼女も人間。
殺気を立たせることもあれば恋だってする普通の人間だ。
そう思うとさっきまでの恐怖感は一体なんだったのかというほど、ばかばかしくなってきた。
クスッと笑みを漏らすと僕はAに近づくのだった。
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ミニタリー(プロフ) - 木の実さん» 受験を無事に終える事ができたので改めて報告させて下さい。応援ありがとうございました!木の実さんの温かいお心遣いがとても嬉しかったです!引き続きミニタリーをよろしくお願いします(^^ (2017年3月19日 2時) (レス) id: 6fd72459f4 (このIDを非表示/違反報告)
ミニタリー(プロフ) - ルミさん» 受験を無事に終える事ができたので改めて報告させて下さい。応援ありがとうございました!ルミさんの温かいお心遣いがとても嬉しかったです!引き続きミニタリーをよろしくお願いします(^^ (2017年3月19日 2時) (レス) id: 6fd72459f4 (このIDを非表示/違反報告)
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ミニタリー(プロフ) - 冷凍みかんさん» 受験を無事に終える事ができたので改めて報告させて下さい。応援ありがとうございました!冷凍みかんさんの温かいお心遣いがとても嬉しかったです!引き続きミニタリーをよろしくお願いします(^^ (2017年3月19日 2時) (レス) id: 6fd72459f4 (このIDを非表示/違反報告)
ミニタリー(プロフ) - いちごみるくさん» 受験を無事に終える事ができたので改めて報告させて下さい。応援ありがとうございました!いちごみるくさんの温かいお心遣いがとても嬉しかったです!引き続きミニタリーをよろしくお願いします(^^ (2017年3月19日 2時) (レス) id: 6fd72459f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミニタリー | 作成日時:2016年1月30日 15時