痺れるほどの快.楽を【マフィア松】

No.12 ページ13

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さっきまで通っていた道を引き返す





体力に自信はあるものの、革靴のせいで走りにくくてしょうがない







手に持つ資料を落とさぬように

左手でしっかり握る


若干皺が入ってしまうのは許してほしい








周りに誰もいない事を確認し

電話帳から履歴でチョロ松の名前を引き出す







電話をかけるとチョロ松は間延びしたような声で出た









「今度はどうしたの？

仕事が終わるにしては早すぎない？」







「仕事、はまだ終わってない。

今からプランを変更して、俺はこれから地下室へ向かうことにした」






「は？

なんでわざわざ地下室に？」






「例の能力者がそこで拘束されてるとお前が言ってた資料に書いてあってな。

だから救出してから最上階まで行くことした」






辺りを警戒しながら進む


もしここで襲撃されたらたまったもんじゃない。




今は両手が塞がってる状態だから

絶対に反応が遅れてしまうだろう。





階段を駆け下りながらそんな事を思う









「ふーん、情報はどうする気なの？」








「地下室に行くには一旦外に出なきゃいけない。

だからついでに入口で渡す


どうせまた様子見にでも来てんだろ」








俺の言葉に「まぁ、そうだけどさ」と返す弟


趣味の悪いやつだ









「でも今回僕は歩きだから

その能力者は引き取れないからね？」







「ああ、分かっている。

俺が車を出すから心配はいらない


…時間がないからそろそろ切るぞ」









そう言ってスマホをしまう


靴がいちいち音を立てるが、そんな事を気にする余裕もない。







現在の時刻は１５時０８分。


重役のみで行われる会議終了まで

あと３０分を切っている









額を伝う汗を拭い

走る速度を上げた



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