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34人目。 ページ36

____想定外。




現在の状況を見るに、その言葉が一番適当だと感じるであろう。


なぜなら、私達が休憩室に入った時にはすでにA様が苦痛に顔を歪ませており、黒子君…と言ったか。
彼がA様をベッドに寝かせていたからだ。

私の隣で、三葉も怪訝そうに眉を上げている。



「一体、何があったのですか…?」



唖然とする三葉の隣で、私は黒子君に問いかけた。


「それが、突然頭が痛いと言い出して…」


「頭が…?

他には何か言っていましたか?」



『もしかしたら。』
そんな言葉が頭をよぎった。

折角苦労して取り消したものを、わざわざ戻していいわけがない。



「……確か、僕の名前を呼んだ後にこうなった、と思います」


「やはり、ですか。」



人間の名前を呼んだ後に、頭痛。

その説明で、全てにおいて合点がいった。



「や、やはりって何ですか!?」



隣で動揺を隠しきれず、感情を露わにする三葉。仕方がないこととはいえ、少しは落ち着いて欲しいものだと感じてしまう。



「それについてはまた後でじっくりお話しますよ。

…一先ず、黒子君。
貴方にお願いがあります。」


「僕に、ですか…?」



彼がゴクリと息を飲むのが伝わってくる。


個人的に彼のことは興味の対象であったが、A様のため、私は言葉を続ける。



「…これ以上、A様に近づかないでくれませんか?


金輪際、A様と関わらないで下さい。


……迷惑です」



最後の一言だけは、半分本心だった。

黙って聞いていた2人も、目を丸くしてこちらを見、唖然としている。



「本当、消したものを勝手に戻そうとされるのって困るんですよね。
痛がってるじゃないですか。


…いい加減、忘れさせてあげません?



人との関わり合いに、良い思い出なんて無かった。



____それで、いいじゃありませんか?



ありもしない理想論を並べて希望を探し回るより、自分の記憶を頼りに絶望を回避した方が、
よほど懸命な判断だと思いますよ、私は」



不敵な笑みを浮かべて、私は彼に忠告をする。

昔、A様と関りがあった彼にならこの意味がすぐにわかるだろう。



ただ、私はA様に彼と関わることを望んでいない。……それだけなのだから。



「…一つだけ、質問させて下さい。」


「どうぞ」



真に迫った表情で、彼は小さく問いかけてくる。
その手には、力を入れすぎて小刻みに震える握り拳が出来上がっていた。



「______貴方は、何者ですか…?」

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黒ウサギ - ハーイ(*´▽`*)楽しみにしていますねっ☆ (2014年11月1日 22時) (レス) id: 630c907ecf (このIDを非表示/違反報告)
みなみな(プロフ) - 黒ウサギさん» ありがとうございます(´∀`*)是非是非、これからもよろしくお願いします(`・ω・´)キリッ (2014年11月1日 1時) (レス) id: 0af48c629f (このIDを非表示/違反報告)
黒ウサギ - お話いつも読ませて貰ってます(^○^)続きが気になって仕方がありません;^)更新楽しみにしています(≧∇≦*) (2014年11月1日 0時) (レス) id: 630c907ecf (このIDを非表示/違反報告)
みなみな(プロフ) - 心縷々さん» えーと…私は心縷々さんの作品を読んだことが無いのでアドバイスというより、自分が気をつけていることを言いますけど…一先ず、私は裏設定を大量に作っていたりしますね。物語の中では語られることの無い物語…そういうものが人を惹きつける魅力だと思うのです (2014年9月2日 17時) (レス) id: 0af48c629f (このIDを非表示/違反報告)
心縷々(プロフ) - あの、お願いがあります。私はホラーを書いているのですが、この小説は私の書けないなんか難しい展開が上手いと思いまして…。厚かましいのですが、アドバイスとかもらえませんか?お願いします!作者名はこのままなので…。 (2014年9月2日 16時) (レス) id: 2c93f684a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みなみな | 作成日時:2014年8月31日 18時

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