16人目。 ページ17
「えっと…
私にA様をここへ連れて来い、と?」
「…ダメ、ですか?」
水色の青年は、感情の見えない瞳でじっと私を捉え続けた。
「…不可能かと思われます。
ついさっき、A様は執事長とお話になられていたので」
自分でも意外だったけれど、真面目に話を続けていた。
「…そうですか。
それなら、ここで待っていてもいいですか?」
そう、落ち着いて対処してきたのは赤髪の青年。…どうやら帰る気はないらしい。
私的には人間なんてすぐにコロがシちゃえばいいと思うんだけど、そうすると後でAが何言ってくるかわかんないし。
「ここで、待つんですか…
それなら、私の部屋はどうです?
狭いですが、外に居るよりは何倍かマシかと思いますよ」
そう言って、半ば強引に彼らを自分の部屋へと誘う私。
彼らは、小声で何かを話しながらついてきた。
「…ここ、ですか?」
その七人を連れてきたのは私室。
部屋のサイズは人間達で言うところの1DKだと思ってくれていいと思う。
「一先ずA様を呼んでみますが、あまり期待はしないで下さいよ…?
…って、貴方達の名前を聞いてませんでしたね。スミマセン」
そう言って、私は苦笑を浮かべながら名前を聞いていった。
いちようA様には会いに行く。
でも、A様が自分で人間と会うのを拒んだらこの人間達は私が仕留める。
…そうしないと、後が怖いし。
そう、頭の中で口に出してはいけないようなことを考えていた時だった。
ふいに、自己紹介が桃色の少女の番に回る。
「…私は、桃井さつきって言います」
「・・・ぇ…?」
私は______
その名前を聞き、思考が停止するのを感じた。
身体全体に冷たい物が流れ、心の底に秘めていた何かが騒ぎ始める。
『桃井さつき』
それは私の______大嫌いな人間の名前。
「…あの、どうかしました?」
心配そうに私を見つめる彼女からは、ほのかに懐かしい香りがしていた。
「な、なんでもありません。
そ、そんなことより、一つ…質問させてもらってもいいですか?」
「あ、はい…」
この人が、"彼女"…?
その疑問の答えを知る為に、私は彼女の顔色をうかがいながらその質問を口にする。
・
「子供の頃.......
そう、小学校二年生くらいの時。
毎日肌身離さず大事に持ち歩いていたテディベアのぬいぐるみを、捨てたりしませんでした…?」
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黒ウサギ - ハーイ(*´▽`*)楽しみにしていますねっ☆ (2014年11月1日 22時) (レス) id: 630c907ecf (このIDを非表示/違反報告)
みなみな(プロフ) - 黒ウサギさん» ありがとうございます(´∀`*)是非是非、これからもよろしくお願いします(`・ω・´)キリッ (2014年11月1日 1時) (レス) id: 0af48c629f (このIDを非表示/違反報告)
黒ウサギ - お話いつも読ませて貰ってます(^○^)続きが気になって仕方がありません;^)更新楽しみにしています(≧∇≦*) (2014年11月1日 0時) (レス) id: 630c907ecf (このIDを非表示/違反報告)
みなみな(プロフ) - 心縷々さん» えーと…私は心縷々さんの作品を読んだことが無いのでアドバイスというより、自分が気をつけていることを言いますけど…一先ず、私は裏設定を大量に作っていたりしますね。物語の中では語られることの無い物語…そういうものが人を惹きつける魅力だと思うのです (2014年9月2日 17時) (レス) id: 0af48c629f (このIDを非表示/違反報告)
心縷々(プロフ) - あの、お願いがあります。私はホラーを書いているのですが、この小説は私の書けないなんか難しい展開が上手いと思いまして…。厚かましいのですが、アドバイスとかもらえませんか?お願いします!作者名はこのままなので…。 (2014年9月2日 16時) (レス) id: 2c93f684a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みなみな | 作成日時:2014年8月31日 18時