愛を知らない夏 ［Taiga］

音 (9/10) ページ35

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テーブルの上いっぱいにあった、ピザもチキンも全部、

ふたりで綺麗に食べてしまった。



食べきんないかも、なんて話してたけど
気づいたら全部なくなっていた。








大我が「ねえ、やばい、お腹いっぱい」って自分のお腹をさすりながら言う。




軽く、ゴミやお皿をまとめながら
「じゃあアイス入んないね、」と言えば、

「え！アイスは食べるよ？」とさも当然、といったような顔をされた。





「食べすぎ」
「まだ余裕だよ、Aもあとで美味しくいただくから」
と親指を立てた。

…なんなの、その"グー"は。






テーブルの上に、缶が5、6本。
いつもより飲んだ。


酔ってるかもな、と自分の頬の熱で確かめた。





大我は、わたしが片付けをしている間に
もう冷凍庫からアイスを出してスタンバイしていた。


いつもはカップアイスが多いけど、
今日はピノ。

「これ食べたい気分なんだよね〜」と買い物カゴに入れてた。






片付けがひと通り終わって、
リビングに戻ると



どこかで"ドン"と大きな、地響きのような音がした。




驚かされた猫のように固まった大我と、
じ、と見つめ合う刹那。




テレビから流れる、最新のヒット曲。

大我が、リモコンを手に取って、それを消した。






時間に取り残されたような気持ちになった。



すると、また"ドン"と音がした。




大我が、"ちょっと待って"とカーテンを開けて
ベランダに飛び出した。



「ねえ、A」
「ん？」

ベランダから戻ってきた大我が、
「花火だよ、花火！」と意気揚々として言った。


「え、花火？」




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