愛を知らない夏 ［Taiga］

厄介 ページ34

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毎年やってる、夏の音楽特番をふたりで見ながら食べるごはんは、最高だった。



「今日はパーチーね、パーチー」って
チキンやピザ、ファストフードを買ってきて

ふたりで食べた。



大我セレクトでお酒も買ってきて
「今日はAを酔わせちゃうぞ」と言ってキメてた。

何買ってきたんだろう、ってちらっと覗いた買い物袋の中は、いつものチューハイやら甘いお酒ばっかりで、ちょっと笑った。







「あ、俺この人のライブ行ったことあるよ」
「へー」
「Aも今度一緒に行く？」

え、未来の約束…？


「行く」
「んふふ、いいよ」

得意げな顔でまたチキンをかじった大我を見ながら、私は喜びと共にお酒を流し込んだ。

あー、酔いそう。





口を食べ物でいっぱいにしながらも
膝を手で叩いてリズムを取ったり、たまに口ずさんだり

こんなに音楽好きな人だったんだって
初めて知った。





「なんか、楽しそうだね」

「んー？そうかな……そうだね、楽しい」


たぶん何も分かってないんだろうけど

"楽しい"と言った大我の顔に、満足した。




もし、相手がわたしじゃなくても

この人に幸せが訪れますように。



この人だったら、一生都合のいい女でもいいかな。





そんな、ただのわがまま。

もう子どもじゃないのに。




切ないラブソングを口ずさむ大我の横顔に
どうしてこんなに胸が疼くんだろう。



ただの独占欲だったら、まだいいのに。

恋、しちゃってるから、厄介だ。





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