癖 ページ30
長年、兵士長補佐としてリヴァイさんの隣にいて、いくつか分かったことがある。
例えば、リヴァイさんは寝付きが悪いこと。
だから起きていられなくなる限界まで徹夜をして、その後に倒れるように寝る_そういう良くない習慣が出来てしまっている。
例えば、意外と猫舌だから淹れたての紅茶より少し冷ました紅茶の方が好きなこと。
だからいつもリヴァイさんに紅茶を用意する時は、飲むのを逆算して作って淹れておく。
こういう風に、行動や生活習慣等も把握してる。
それだけじゃなくて、例えば、癖。
リヴァイさんの癖である舌打ちには、色んな意味が含められている。
時には単純な苛立ち、面倒な気持ちから。
時には悔しさ、後悔から。
そして時には__。
リヴァイ「…チッ」
リヴァイさんは私を見た後、目をそらして舌打ちをした。
リヴァイ「…ハンジか」
「正解です。似合いますか?」
数時間前ほどに切ってもらったばかりの髪の毛を、手でさらりと揺らして見せる。
さっきの舌打ち__照れ隠しをしたリヴァイさんに少し意地悪な質問をしたくなって、私は問いかける。
背中の中間ほどまであった長い髪を、肩より少し長い程度にしてもらった。
リヴァイさんに昔、長い髪を褒められてからずっと切っていなかったのだが、さすがに伸びすぎて邪魔くさいということでハンジさんに手を貸してもらったのだ。
リヴァイさんは私の髪の毛に指を通した後、そのまま私を抱きしめて言った。
リヴァイ「あぁ、…よく似合っている」
抱きしめられているからちょうどその甘い声が耳元で鳴り響き、私の身体が震える。
急いでその鍛えられた身体を引き離すと、リヴァイさんは何とも私をからかってる顔をしていた。
「…っ私で遊ばないでください」
彼の思惑通り、簡単に赤面してしまった私の尻すぼみになっていく言葉に、リヴァイさんは鼻で笑った。
リヴァイ「先に仕掛けてきたのはどっちだったか」
先程意地悪をしたい気持ちから聞いてしまった質問を思いだし、後悔する。
思わずため息を吐きそうになったとき_リヴァイさんが私の頭を撫でて言った。
リヴァイ「…俺は、今の方が好きだ」
「…!」
彼の優しい手がそっと、余熱だけを残して離れる。
どうやら私は、どれだけ隣にいて彼のことを理解していたとしても、彼に敵う日は到底遠いようだ。
私は甘いため息を吐いた。
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みみみみみ(プロフ) - 結菜さん» ありがとうございます😭めちゃめちゃ嬉しいです!実は丁度最強組にハマって呪術のお話し書きたいな〜と思っていたので作成しました!そちらも読んでくださると嬉しいです! (2023年1月14日 19時) (レス) id: 8759106b01 (このIDを非表示/違反報告)
結菜 - めちゃくちゃおもしろくて、とても幸せで、私好みのお話でした。次は、五条先生のお話をかいてくれたら嬉しいです! (2023年1月14日 11時) (レス) @page37 id: 19761245cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みみみみみ | 作成日時:2022年9月20日 22時