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言葉の意味が分からず、私はただ目を見張ることしか出来なかった。
「え…」
当たり前だが、リヴァイさんにふざけている様子は全くもって無い。
「どうしてですか…!私は今回の壁外で、皆を…、
_殺してしまいました。私のせいなんです。冷静な判断も出来なかったですし…」
リヴァイ「_後悔しているか?」
静かな問いなのに、妙な圧があって息をのむ。
リヴァイさんは私から目をそらして、また空を見上げた。
リヴァイ「俺も_最初は後悔から始まった。ここにいる理由のひとつだ。…大切なものほど、簡単に自分の手の中から溢れ落ちていく。
…お前も、分かるだろ」
両親の死。当たり前の生活の一変。
様々記憶が頭をよぎって、私は俯く。それを肯定と取ったリヴァイさんはそのまま言葉を続けた。
リヴァイ「…少し考えれば、分かることだった。
冷静な判断を出来なかった。お前と同じだ。何より大切な仲間を_自分から手離した。
…今はもう後悔はしてねぇ。ただ俺と同じような想いをする奴が少しでも減るように_このクソみてぇな世界を変えようとかいう大義名分のために闘ってはいるが。
実際はそう上手くはいかねぇよ。役職を貰って、人から尊敬の目を向けられるようになっても_結局は分からない。本当の意味で上手くいったことなんて無いかもな。
お前の選択は本当に間違っていたのか?
…お前がいなければ、1度目の壁外調査の時フェンメルだけじゃなくて他の奴らも犠牲になっていたかもしれない。お前が身を呈して守っていなければ、エルヴィンはコットに撃たれ、兵団は崩壊していた」
「…でもそれは、私が”地下街の悪魔”だったから起きた事であって」
リヴァイ「じゃあお前の両親が死んだ時、ただ黙って飢え死していれば良かったとでもいいたいか?」
言葉が出ず、俯く。リヴァイさんはただ静かに、あくまでも優しく諭すように、導くように私に問いを投げ掛けてくる。
「…分かりません」
リヴァイ「そうだ。結局はどの選択が正しいのかなんて誰にも分からない。
…自分が選んでしまった選択に意味を持たせるのは、他でもねぇ自分自身だ。お前が”地下街の悪魔”をやっていたのも、デノンやコットを殺してしまったのも、そこに意味を持たせるか持たせないかは、これからのお前次第だ」
私は手の平の中にあるデノンさんのボタンを、ぎゅっと握りしめる。
「_だから、兵士長補佐をやれと?」
リヴァイ「_それは少し違うな」
リヴァイさんは立ち上がった。
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作者名:みみみみみ | 作成日時:2022年9月29日 19時