幼馴染み 健永ツアー編 ８ ページ45
Aside
"健永の気持ちに気付けて良かった。"
本当にそう思った。
お互いに気を使っていた事が分かって、私は少し嬉しかった。
"気を使ってる"って他人行儀に感じるけど、私は気を使うのは、"相手の事を想っている"からだと思っている。
過ぎるのは良くないけれど、相手の事を大切に思うから気を使っているのだとすれば、健永が私の事を大切に想ってくれているんだと、分かった気がした。
一人そんな事を考えて、黙り込んでしまったいた私。
そんな私を不思議そうな顔で見つめていた健永に、私はやっと気が付いた。
「ごめんなさい。
ちょっと嬉しかったから・・・。」
突然そう言った私に、意味が分からず困った顔をした健永は、
健永「・・・嬉しかった？」
そう聞き返した。だから私は、
「だって、私の事を考えてくれてたって事でしょ。」
精一杯の笑顔でそう答えた。すると、
健永「ちゃんと考えてるよ。」
健永も笑顔で、そう答えてくれた。
その日からツアーが終わるまで、二人で会うことは無かった。
勿論ライブは見に行ったけど、私は何時行くかも知らせて無いし、健永も何も聞かない。
健永曰く、
健永「何時Aが来ると分かっても、俺の気持ちは変わらないし、パフォーマンスも変わらないから、何も言わなくて良いからね。」
前にそう言っていたから、私も何も言わずにライブに行く事にしている。
だけどライブが終わると、必ず感想を聞きに家に来る。
一ファンとしての意見して、来年の参考にするらしい。
だから私も、率直な感想を言わせて貰っている。
健永「そんな風に見えてるんだね。
だったらあの時は・・・」
終わってほっとしているのかと思えば、もう来年のライブの構成の話までしてる。
「もう来年の事、考えてるの？」と聞けば、
健永「毎回思うんだ。
"今年よりも、来年はもっと楽しんで欲しい"って。
だから、一年なんてあっという間だよ。」
そう言って愉しそうな顔をする健永は、見慣れている筈の私でも、ドキドキするほど格好良い。
「本当に好きなんだね、ライブ。」
答えなんて聞かなくても分かってる。
だって、健永のその笑顔が答えだもの。
この笑顔の為なら、私の会いたい気持ちも寂しい想いも、大した事じゃないって思える。
何時までもこの笑顔を見ていられる様に、私も頑張るね、健永。
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作者名：紅廉 | 作成日時：2018年11月20日 20時
