幼馴染み 健永ツアー編 7 ページ44
Aside
健永「折角準備してくれてるのに、冷めたら勿体無いよね。
いただきます。」
健永はそう言って胸元で手を合わせると、美味しそうに料理を食べ始めた。
私はそんな健永を、黙って眺めていた。
すると健永は、突然食べている手を止めると、お皿に落としていた視線を上げ、じっと私を見つめた。
「・・・なに?・・・どうしたの?」
そんな健永の行動に慌てる私を見て、彼は可笑しそうに微笑むと、
健永「そんなに見つめられると、俺に穴が開いちゃうよ。」
嬉しそうに、そう言った。
そんな健永の言葉に、
「えっ・・・私、そんなに見つめてた?」
そう言いながら、再び慌てる私。
そんな私の様子を見て、健永は暫く笑っていたが急に黙りこむと、私をじっと見つめた。
そして困った様な顔で、
健永「ごめんA、淋しい想いをさせてるよね。
分かってるのに俺・・・その手を離してあげる事が出来ない。
本当はAの為を想えば、このままじゃダメだって分かてるのに・・・。」
私にそう言った。
突然の彼の言葉に、私は戸惑いながらも、
「勝手に、私の気持ちを決めないで。
・・・確かに寂しくないって言えば嘘になるけど、だからと言って、健永と離れたいなんて事、私は一度も思った事は無いからね。」
私は健永の目を真っ直ぐに見て、はっきりそう伝えた。
お互い視線を合わせたまま、少しの間沈黙が続いた。
健永「プッ・・・プハハハ・・・。
やっぱりAだね。」
そう言って大笑いした健永を、呆気にとられて見つめる私。
そんな私に気付いた健永が、
健永「ごめん、ごめん。
Aは自分の気持ちを我慢する事が多いけど、絶対譲れない時のAは、"やっぱり強いな"って思って。」
一瞬何の事か分からなかったけど、優しい健永の眼差しに全てがのみ込めた。
「私の返事・・・分かってたんでしょ。」
少し睨んでそう言えば、
健永「不安な気持ちも有ったんだよ。
もしAの答えが違っていたら、どうしようって。」
何時も明るく振る舞っているけれど、本当は心配性の健永。
だから、私の本当の気持ちを聞きたかったんだと思う。
一瞬見せた不安そうな顔も、私の答えにほっとした顔も、全てが健永の心を表していたんだと思えた。
こんなに大事な時期に、私のせいで悩ませていた事を申し訳なく思った。
幼馴染み 健永ツアー編 8→←幼馴染み 健永ツアー編 6 (訂正有り)
109人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紅廉 | 作成日時:2018年11月20日 20時