帰還�� ページ44
海上――
ハルジオンへ向かっている最中、
グレイが不満げに口を開いた。
「しっかし、
あれだけ苦労して報酬は鍵1個か…」
「せっかくのS級クエストなのにね」
「正式な仕事ではなかったんだ。
これくらいが丁度良い」
「そうそう、文句言わないの!!」
不満げなグレイとハッピーとは対照的に、
ルーシィは嬉しそうな笑みを浮かべていた。
「得したのルーシィだけじゃないか〜
売ろうよ、それ」
「何て事言うドラネコかしら!!」
ルーシィはハッピーの発言に驚いていた。
「前にも言ったけど、
金色の鍵…"黄道十二門の鍵"は
世界中にたった12個しかないのよ!
めちゃくちゃレアなんだからね!!」
「とはいっても、
結局オレ達には何の得になんねーしな」
グレイはそう言うと、
自身達から少し離れた所で
海を眺めているAを見つめた。
先程からAは、
海を眺めながら考え事をしている様だった。
グレイの視線に気付いたのか、
Aはグレイの隣にやって来た。
「A、どうした?」
『グレイ、私ね…
今まで沢山グレイに助けられてきた分、
グレイを守れる様に護身術を習得したり、
魔法をいくつも勉強してきたけど…
グレイが沢山血を流しているのに、
私は簡単な治療しか出来なくて
まだまだだなって思ったの』
「Aは十分強ェよ」
『ありがとう。
でも、今回の件で決めたの。
私…治癒魔法を絶対に習得する。
治癒魔法があれば傷を癒せるし、
グレイ達のサポートが出来るでしょ?』
「いつ行くつもりだ?」
『今回の報告とか、
魔力暴走の報告とか、
いろいろと落ち着いたらかな…』
「しばらくギルドに戻らねぇのか?」
『うん!
治癒魔法を習得するまでは、
帰らないつもりだよ!!』
そう言ったAは、
力強く真っ直ぐな目でグレイを見つめた。
一度決めた事は最後までやり通すAに、
誰が何を言っても止められない事を
グレイはよく知っていた。
「分かった。あんまり長くなるなよ」
『うん!すぐ帰ってくるね!!』
船がマグノリアに着いた頃、
Aはナツ達に
しばらくギルドから離れる事を伝えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆき | 作成日時：2023年3月24日 11時
